【セキュリティ事件簿#2023-040】尼崎市職員、泥酔して公用スマホ紛失。USBメモリ事件を恐れて虚偽報告し処分を受ける ~バッドニュースファーストは重要だが難しい~


兵庫県尼崎市は2023年1月27日、個人情報を含む公用スマートフォンを紛失し、虚偽の報告をしたとして、武庫地域課の男性職員を減給10分の1(1カ月)の懲戒処分にしたと発表した。スマホには市民の電話番号17件とLINE(ライン)の連絡先48人分などが登録されていたが、情報漏えいは確認されていないという。

市によると、職員は2022年12月1日夜、同僚らと飲食し、泥酔して午後11時半ごろタクシーに乗せられた。その後、職員の記憶はなく、帰宅途中に公用スマホを財布や免許証とともに紛失した。

職員は5日に尼崎南署に遺失物届を出していたが、上司には12日に「8日に紛失に気づき、12日に遺失物届を出した」と虚偽の説明をした。15日、職員の自宅近くで、別の職員がスマホを見つけた。遺失物届を取り下げたが、報告に不自然な点があり、同市で聞き取り調査など行ったところ、事実とは異なる報告が行われていたことが明らかとなった。

市の内規で公用スマホの持ち出しは許可が必要だが、同課は年単位で許可していた。市では22年6月、全市民の個人情報が記録されたUSBメモリーを委託業者が泥酔して一時紛失した。職員は「USBメモリーの紛失が頭をよぎり、自分で探そうと思った」と話したという。

市は紛失と発見について発表していたが「重要な報告をせず、誤った事実を公表することになり市政への信用を損ねた。情報漏えいのリスクを高めた」ことを処分理由とした。