福井県越前市教育委員会は2021年11月9日、武生第六中学校のパソコン1台と同校の専用サーバーが、ウイルスに感染したと発表した。有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウエア「マルウエア」による被害とみられる。情報流出の有無は確認できておらず、市教委が調査している。
市教委によると、感染したパソコンには、全校生徒184人の学年・組・氏名が記された名簿、生徒の写真や学校行事の動画、集金のための全校生徒分の保護者氏名と口座番号の情報が含まれていた。氏名と口座番号のみで現金が引き出されることはなく、写真や動画が個人の特定につながることはないとしている。
市教委は8日午後0時半ごろ、同校のパソコンにウイルスの痕跡を示す暗号化されたファイルがあると保守点検業者から報告を受けた。同様のファイルがサーバーからも見つかった。一般的なマルウエア被害と同様に、暗号解読のためアポイントを要求する英語の脅迫文がパソコンの別のファイルから確認された。
パソコンは、授業の教材や準備物などの資料を格納している職員室のデスクトップ端末で、市内全小中学校が使用する共有サーバーともつながっている。感染したファイルに他校からアクセスした形跡は確認されていない。
市教委は被害確認後、直ちに全小中のネットワークを遮断して感染拡大を防ぐ措置を取り、保護者におわびと注意喚起の文書を出した。県警に被害を報告したほか、市は情報セキュリティーの緊急チームを設け、感染経路や情報流出の形跡がないかを調べている。