富士通の情報共有ツール「ProjectWEB」を介して、日本の複数の省庁が不正アクセスを受けました。
富士通の発表によると、ProjectWEBを利用したプロジェクトへの不正アクセスが行われ、一部の顧客情報が盗まれたとのことです。
なお、今回の不正アクセスが、脆弱性を狙ったものなのか、サプライチェーンを狙ったものなのかは明らかになっておらず、現在調査を進めています。
攻撃者は、少なくとも76,000件のメールアドレスにアクセス
昨日、国土交通省と内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、富士通の情報共有ツールを介して攻撃者が内部情報を入手できたことを発表しました。
また、富士通は、攻撃者がProjectWEBを利用したプロジェクトに不正にアクセスし、独自のデータを盗み出したと発表しました。
富士通のProjectWEBは、企業や組織が、プロジェクトマネージャーやステークホルダーなどと、社内で情報を交換することを可能にします。
ProjectWEBログイン画面
ProjectWEBを経由して政府機関のシステムに不正にアクセスすることで、少なくとも76,000件のメールアドレスや、メールシステムの設定などの専有情報を取得することができたことが、国土交通省によって確認されています。
富士通の資料によると、2009年の時点で、このツールは約7,800のプロジェクトで広く使用されていたとのことです。
なお、流出した電子メールアドレスには、専門家会議のメンバーなど外部の関係者のものも含まれており、個別に通知を受けています。
成田空港でも、航空管制データやフライトスケジュール、業務に関する情報が盗まれ、影響を受けました。
また、日本の外務省では、情報漏えいにより、一部の研修資料が流出しました。
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、富士通のツールを利用している政府機関や重要インフラ組織に対し、不正アクセスや情報漏えいの兆候がないか確認するよう、複数の注意喚起を行いました。
富士通、オンラインポータル「ProjectWEB」を一時停止
富士通は、この問題の範囲と原因を完全に調査している間、ProjectWEBポータルを停止しているとのことです。
ログインポータルへのURLにアクセスしようとするとタイムアウトしてしまいます。
ProjectWEBポータルは「soln.jp」ドメインでホストされていたため、自分の組織が影響を受けているか、あるいはかつて顧客であったかどうかを確認する一つの方法は、ネットワークログにこのドメインや前述のURLの痕跡を探すことです。
富士通は、プレスリリースの中で、関係当局に通知するとともに、顧客と協力して侵害の原因を特定すると述べています。
現在、富士通はこの事件を徹底的に調査しており、日本の当局と緊密に協議しています。富士通の広報担当者は、「予防措置として、このツールの使用を停止し、影響を受ける可能性のあるお客様にはその旨をお伝えしています」と述べています。
この攻撃の技術的な詳細については未定ですが、この事件は、何百もの顧客組織に影響を与えたファイル共有ツール「Accellion」のハッキング事件と似ています。
【参考】
ー12/14追記ー