【転載】「令和2年版 情報通信白書」から読み解く「日本企業のDXに向けた課題」とは

「令和2年版 情報通信白書」から読み解く「日本企業のDXに向けた課題」とは:



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総務省が毎年夏に公表する「情報通信白書」は、2020年で48回目を迎える。国内のICT関連統計資料として最も長期かつ広範囲に網羅しており、一部を除いてオープンデータとして利用できる。

 令和2年版は「5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築」と題した特集を組み、「5Gがもたらす社会全体のデジタル化」や「5G時代を支えるデータ流通とセキュリティ」といった内容とともに、例年と同様、ICTの産業や政策についての動向を詳細にまとめている。

 第5世代移動通信システム(5G)については白書を直接ご覧いただくとして、本稿では企業ITの観点から日本のデータ活用の現状に着目し、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた課題について、筆者が注目した図を取り上げながら考察してみたい。

 その前に取り上げておきたいのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行による影響も、今回の白書にきちんと反映されている点だ。白書の冒頭では「新型コロナウイルス感染症の流行を契機として、ICTは、国民生活や経済活動の維持に必要不可欠な技術となり、これまでデジタル化が進まなかった領域にもデジタル化の波が押し寄せている」とし、次のように記している。

 「人の生命保護を前提に、感染症発生以前とはフェーズを異にする新たな社会や経済へと不可逆的な進化を遂げる。デジタル化やリモート化を最大限に活用することにより、個人、産業、社会といったあらゆるレベルにおいて変革が生まれ、新たな価値の創造へとつながっていく」

 その上で、白書は次のように訴求している。

 「これまでもデジタル基盤整備およびデジタル技術活用を通して、サイバー空間とリアル空間の融合が進んでいたが、感染症の発生を受けて、両空間が完全に同期する社会へと向かうとの指摘もある。今後は収束へ向けて、5Gをはじめとするデジタル基盤や、IoT、ビッグデータ、AIといったデジタル技術の活用が、今まで以上に重要となる」

 図1は、上述のメッセージを端的に表したものだ。情報通信白書の冒頭でこのようなメッセージを発信するのは異例といえる。「ウィズコロナ、そしてアフターコロナにおいてDXをどう進め、どう成果を上げていくかが、企業にとって大きな課題になる」という同省の見解がうかがえる。