【セキュリティ事件簿#2025-001】株式会社モダリス 当社子会社における資金流出被害の発生と特損計上に関するお知らせ 2025/1/6

 

株式会社モダリス(本社:東京、代表取締役 CEO: 森田晴彦、以下モダリス)は、当社子会社において、取引先を装った悪意ある第三者からの虚偽の支払い指示に応じて資金を流出させる詐欺被害が発生し、90 千米ドルの損失が生じる事案が発生いたしましたのでお知らせします。

株主の皆さまを始め多くの皆さまにご迷惑とご心配をおかけすることとなりましたこと、深くお詫び申し上げます。

1.被害の概要

2023 年の初頭に、取引先(以下、「A 社」という)に依頼し、8 月後半に実際に納品のあった仕事に対し、11 月後半に A 社の名を騙った人物(以下、かかるメール送信者を「犯人」という)からメールで支払依頼があり、この請求に応じて虚偽の犯人銀行口座に当社が代金を支払うという被害が発生しました。

2.被害発生の背景

A 社は米国に拠点を有する製造委託先で、当社と A 社は、事件発生以前より複数回の取引がありました。A社は納期や、成果物の品質も一定の水準を満たしており、また価格やオーダーの追加、変更などを含み、様々な当社の要請に対して柔軟に応じており、仕様の変更や、取引条件の変更についてのやり取りも少なくありませんでした。

こうしたやりとりの中、A 社の取引担当者の正式なメールアカウントが何らかの方法で乗っ取られ、当社とA 社で実際に取引を行った受委託事案に関する請求書が、先方のメールサーバーから犯人によって送信されて、当社側の担当者が受信をいたしました。その指示に従い、当社の担当者から依頼を受けた経理部門が指定先の口座に送金を行いました。

3.その後の経緯

その後、先方 A 社の経理部門から同一事案について重ねて請求が行われたことから、当社が送金の照合をしたことによって、送金先が虚偽の銀行口座(犯人口座)であったことが判明いたしました。当社は直ちに地元当局に連絡を行うと共に、当社の送金元銀行および犯人口座のある銀行に連絡を行い、犯人口座の凍結をすることに成功をしました。またその時点で送金額の相当額が、当該口座から出金されずに維持されていることを、当社代理人を通じて確認できました。

数ヶ月にわたる送金元の当社口座のある銀行、および犯人口座のある銀行とのやりとりおよび手続きの後に、当社に対して銀行側が回収できた額の返金がありました。被害額の負担についての取り扱いを A 社との協議を経て、一定の割合で双方が被害額を負担することで合意をいたしました。また、これと平行して当社は保険会社に対して電子的詐欺行為の保険請求を行い、一定額の補償が認められました。結果的に当社の最終的な損失として、90 千米ドル(約 14 百万円)が確定するにいたりました。

4.現時点で判明している事実

本件については被害が判明した時点より捜査機関が捜査を行っていますが、犯人につながる有力な情報は得られていません。また、当社代理人を通じて、銀行側に犯人および不正に関わる情報の取得を試みましたが、回収額以上の情報は銀行側の守秘義務を理由に得られていません。

犯人からのメールが、適格なタイミングかつ適格な内容を装って送信されていることから、犯人は A 社担当者のアカウントを乗っ取った後に、ある程度の期間当社と取引先のやり取りを観察し、商業条件だけでなく、個人的な関係性や支払時期も理解した上で絶好のタイミングを狙って当該取引先の名を騙ったメールを送付してきたと思われ、ハッキングの手技に加えて極めて巧妙な手口の詐欺であったと推測されます。

5.個人情報漏洩の可能性

今回当社側では、当社が保有する顧客に関する情報は漏洩していないと判明しております。また、現時点までの調査では漏洩された個人情報や漏洩を疑わせる事実は確認されていません。

6.再発防止策

今回の事案は A 社側担当者のメールアカウントが乗っ取られたことに端を発していますが、当社側でもメールなどの通信ツールアカウント等のパスワード保護、二段階認証の徹底をすると同時に、取引相手側にもこういったことが起こりうる可能性に備えて、送金の際には複数の通信方法による確認、社内の送金プロセスの見直しなどを行って参ります。また当社が口座を保有する銀行とは、こうした電子的詐欺行為への対策を継続的に協議しており、常に最新の情報にキャッチアップすると同時に、対応をアップデートしてまいります。また本件以外のケースにおいては被害には至っていないものの、当社をターゲットとした詐欺行為と思われるアプローチは頻繁に受けており、こうしたリスクに備えた社内体制の整備を徹底してまいります。

7.業績への影響

最終的に当社側には 90 千米ドル(約 14 百万円)の特別損失が生じ、2024 年 12 月期に反映される見通しです。今回の詐欺被害において、大半の送金額の回収に成功したために、最終的な当社損失額は限定的ではありましたが、投資家の皆様からお預かりした資金に損害が少なからず発生したことには深くお詫び申し上げます。

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