データ移行で発生したみずほ銀行のシステム障害についてまとめてみた
2021年2月28日、みずほ銀行でシステム障害が発生し、全国で同行のATMが利用できなくなる、キャッシュカードが取り込まれたまま戻ってこないなどのトラブルが発生しました。ここでは関連する情報をまとめます。
取り込まれ戻ってこないキャッシュカード
障害が発生したのは2021年2月28日11時頃。障害により各地で生じた影響は以下が報じられるなどしている。なお、法人向けに提供されるサービスでは今回のシステム障害による不具合は確認されていない。
- みずほ銀行の自行ATM5,395台の内、54%にあたる2,956台が停止し(2月28日19時40分頃時点)、預金引き落とし等が出来なくなった。台数はその後訂正され、最大4,318台が停止していたことが明らかにされた。
- 障害発生中は、ATMよりキャッシュカード、通帳が機器から戻されない事象が発生。取り出せなくなる影響を受けた件数は5,244件。
- インターネットバンキング(みずほダイレクト)の一部の取引(定期預金、グローバル口座サービス)でもシステム障害が発生。
日時 | 出来事 |
---|---|
2021年2月28日午前 | 定期預金のデータ移行作業中にシステム障害が発生。 |
同日 11時頃 | 全国に設置されたみずほ銀行の一部のATMが利用できなくなる障害が発生。 |
同日 13時頃 | みずほ銀行がWebサイト上にシステム障害の発生を掲載。 |
同日 午後 | みずほ銀行がWebサイト上にデータ移行が原因であり復旧対応中であることを掲載。 |
同日 夜 | システム障害の復旧完了。 |
2021年3月1日7時 | 店舗外のATMなどを中心に一部再開が出来ず。 |
同日 9時頃 | 全国支店に設置されたATMなどをすべて復旧。 |
同日 15時頃 | 稼働確認ができていなかった店舗外42台の復旧を確認。 |
同日 夕方 | みずほ銀行が今回のシステム障害について記者会見。頭取が謝罪。 |
2021年3月2日 | キャッシュカード、通帳の返却が8割完了。 |
2021年3月3日 | 金融庁がみずほ銀行に報告徴求命令。 |
他行利用による手数料は後日返金
- ATM不具合はイオン銀やゼブン銀、ローソン銀のATMでは発生しておらず、同行ATM以外を利用した際にかかる手数料は後日返金される。これ以外に代替手段により生じた費用についても取引店舗に相談するように案内が行われている。
- ATMに取り込まれたままのキャッシュカードや通帳は後日返却対応が行われる。他行キャッシュカードの場合は他行経由での返却手続きとなることが案内されている。
機器再起動で順次復旧
- Webサイト上にはシステム障害は解消したと掲示されている(3月1日4時頃確認)。
- インターネットバンキング(みずほダイレクト)は3月1日0時時点で復旧済み。
- ATMや通帳繰越機は機器の再起動が必要で、2月28日21時までに復旧作業は完了しなかった。
- 再起動が行われた店舗より順次復旧していると説明し、2021年3月1日サービス開始時(朝7時)までの復旧を目指していたが、3月1日7時開始予定の拠点の内、主に銀行店舗外に設置されたATMが復旧できていないとしてリストが掲示された。8時以降にサービスを開始予定している拠点で現在作業中となっているのは51か所とした。(3月1日9時半時点)
データ移行中の不具合が原因
- みずほ銀行は障害の発生原因を定期預金取引のデータ移行作業によるものと発表。データ移行作業は障害が発生した28日朝までに行われており、作業中に不具合が発生した。
- みずほ銀行の大規模なシステム障害は2002年4月(統合後営業開始)、2011年3月(東日本大震災直後)に続き3度目。
事前見積を超える処理量でシステム過負荷
- 3月1日の記者会見でデータ移行と月末処理による過負荷が障害の原因であったことが明らかにされた。当時対応が行われていたのは定期預金のデータ移行45万件と月末処理25万件の70万件。
- 通常は実施しない定期預金のデータ移行は事前のテストで処理量を見積もっていたが、月末に行っている25万件が通常より多く、結果として全体の処理量が想定を上回ってしまった。
- システム障害の責任については、みずほ銀行とグループが責任をもって対処するものと頭取が回答。
- 通常体制でトラブルシュートが可能と判断したことが障害への対応が後手になった背景にある。マニュアル通りに対応しようとしたことが要因と記者会見で回答している。
金融庁が報告徴求命令
- 金融庁は2021年3月3日にみずほフィナンシャルグループ、みずほ銀行に対し報告徴求命令を出した。
- 障害発生日に銀行側と連絡が取れずに長時間待たされるなど多数の顧客に影響が及んだ事態を重く見たため。
- 報告の期限日は2021年3月末。