チケットの入手に成功したので、サイバーセキュリティシンポジウム道後2024に行ってきた。
なんだかんだで11回も参加している。武漢ウイルス(コロナ)の影響を色々受けたが、今回遂に開催時期が3月に戻ってきた。
この時期は花粉がつらい。しかも風邪もひいてしまって、くしゃみをすると花粉が原因だか風邪が原因だか訳の分からない状況。
でもこの時期は温泉が楽しめるので、それだけでも幸せ。
アジェンダ
■Day1
・基調講演:我が国のサイバーセキュリティ政策
山内智生 氏(総務省 サイバーセキュリティ統括官室 サイバーセキュリティ統括官)
・講演(1):デジタル社会におけるサイバー空間の脅威への対応
佐々木彩乃 氏(警察庁 サイバー警察局サイバー企画課 課長補佐)
・パネルディスカッション:あらためて考える インシデントに備えて我々は何をしないといけないのか?
佐藤公信 氏(国立研究開発法人 情報通信研究機構)
今佑輔 氏(一般社団法人ソフトウェア協会(研究員))
萩原健太 氏(一般社団法人日本シーサート協議会)
竹原一駿 氏(香川大学 情報化推進統合拠点 (助教))
・日本シノプシス合同会社 presents 特別講演:日本のサイバーセキュリティ政策と自動車、医療機器などの国際的なサイバーセキュリティ規制の社会への影響を考える
松岡正人氏(日本シノプシス合同会社 ソフトウェア・インテグリティ・グループ シニア・テクニカル・マーケティング・マネージャ)
■Day2
・講演(2):わかる!CYNEX 〜 つながる日本のサイバーセキュリティ 〜
井上大介 氏(国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT))
・講演(3):JR東日本におけるDXの取組みとサイバーセキュリティ
西村佳久 氏(東日本旅客鉄道株式会社 執行役員 イノベーション戦略本部統括)
西本逸郎 氏(株式会社ラック 代表取締役社長)
・講演(4):「いま何が起きているのか公開事例から読み解く ~セキュリティ対策ありきではないセキュリティ対策を~」
佳山こうせつ 氏(東京電機大学 サイバーセキュリティ研究所)
気づきがあったセッションとメモ。
我が国のサイバーセキュリティ政策
出典:https://www.facebook.com/photo/?fbid=817006360470084&set=pcb.817006383803415 |
名古屋港の件で重要インフラ分野に新たに「港湾」を加わえる方向で検討しているらしい。この話を聞いて、以前「海運」が重要インフラ分野に入っていないことに対する話を聞いた事を思い出した。
港湾を重要インフラに入れるのは良いのだが、是非海運も入れてやって欲しいと思った。
また、セキュリティというと技術的対策に視点が行きがちだが、寿司屋の一件のような人的リスクを踏まえると「ガバナンス」と考えるべきで、技術一辺倒だけでなく、バランスが重要と感じた。
最近はTB級のDDoS攻撃も見かけるようになっているため、この点は引き続き脅威らしい。国内で攻撃が発生しないように監視の強化が必要(=ザルなIoT機器の対策強化)
AIをどう考えるか?労働集約型の部分はAIに置き換えていくべきだが、判断の部分は人間がすべき。AIはアカデミック的には「素性の知らない物知り屋」で、「口が軽い(=インプットされたデータを気軽の他人のアウトプットに活用してしまう)」
総務省で「サイバー攻撃被害に係る情報の共有・公表ガイダンス」を作成したが、いざ公表しようとすると会社の広報部門につぶされる事象が発生。これに対応すべく、アドバンス版を作っているらしい。
人材育成(判断できるように人を育てる)は重要。
パネルディスカッション:あらためて考える インシデントに備えて我々は何をしないといけないのか?
出典:https://www.facebook.com/photo/?fbid=817075950463125&set=pcb.817075973796456 |
年間600件くらいのインシデントに携わってきた猛者が言うには、インシデントを起こす残念な組織にある質問をすると必ず同じ答えが返ってくるらしい。
その質問は「構成図ありますか?」
そしてその答えは「・・・・・」
ま、構成図を管理できないようなずさんな組織なので、不正アクセスを受けるわけでして‥‥。
世の中って複雑な様で、真理はシンプル。
セキュリティで重要な事は、世の中の他の「当たり前」と実は大して変わらない。
- 開けたら閉める(ポート)
- 使ったら片づける(アカウント)
- 動かすなら管理する(サービス)
わかる!CYNEX 〜 つながる日本のサイバーセキュリティ 〜
出典:https://www.facebook.com/photo?fbid=817559547081432&set=pcb.817559573748096 |
「俵飯」とか、「アレ勢」とか、なんか聞いた事があるキーワードが出てくると思っていたら、なんとネク長直々の講演だった。
日本のセキュリティ製品の自給率は低く(感覚的に10%未満)、多くの海外製品に依存しており、シェアも、キャッシュ(お金)も、セキュリティに関連したデータも海外に持っていかれてしまっている。
このような背景のもとで、サイバー攻撃に関連するデータとセキュリティ人材育成のためのセキュリティ基盤組織の構築を目指して「CYNEX」が作られた。
「CYNEX」の紹介や取り組みを聞いたものの、「俵飯」の話が強烈すぎて、それしか記憶に残っていない。。。
ちなみに下の動画の常連さんがネク長ということらしい。
JR東日本におけるDXの取組みとサイバーセキュリティ
出典:https://www.facebook.com/photo/?fbid=817589990411721&set=pcb.817590033745050 |
LACの西本さんが毎年ゲストを引っ張ってくる感じのするスペシャルコンテンツ。
今回はJR東日本の執行役員が登場。
SEC道後2024で一番価値があったセッションは何だったかと言われたら、恐らくこのセッションだったのではないかと思う。
こういう貴重なセッションは参加社特典なので詳細は話さないが、感じたのは2点
- グループ組織の場合HQから「やれ」だけでなく、現場を回って説明することが重要
- グループ統一施策に対して反抗的な子会社には可視化して、グループ各社長が集う会議で示すのが効果的(分かる人にはわかると思うのでこれ以上は言わない)
その他
SEC道後は13回目(って言っていた気がする)となり、四国では間違いなく最も大きいセキュリティカンファレンス。
前回くらいから地元メディアでニュースになるくらいのインパクトになっている。
こういうのは地域経済への貢献にもなるので、来年もチケットが取れれば是非参加したい。