国立研究開発法人情報通信研究機構 音声データ誤公開で氏名情報漏えい 2026年3月 | セキュリティ事件簿#2026-142

 

公表日:2026年3月19日

組織:国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)

原因:誤公開(公開対象外データの混入)

攻撃手法:該当なし(人為的ミスによる情報漏えい)

影響範囲:音声ファイル115名分(氏名等の呼称情報)

深刻度:低(限定的な情報・拡散確認なし)

分類:誤操作 / 誤公開


本件は、研究用に公開された音声コーパスに公開対象外の音声データが誤って含まれていたことによる情報漏えい事案であり、公開前の確認プロセスに関する運用上の課題が表面化したケースである。


事件概要

国立研究開発法人情報通信研究機構は2026年3月、研究用途として公開していた音声コーパスにおいて、誤って個人情報を含む音声データが公開されていたと発表した。

公開されたデータには、本来対象外であるボイスチェック用音声ファイルが含まれていた。

当該ファイルには115名分の氏名などの呼称情報が含まれていたが、住所や連絡先などの情報は含まれていないとされている。

同機構は判明後にデータの公開停止や削除要請を行い、関係者への個別連絡を進めている。

本記事では、同機構が公表した公式リリースをもとに発表内容を整理して掲載する。


分析

今回の事案では、研究用途で公開されたデータに本来非公開とすべき音声ファイルが含まれていた点が特徴である。

一般的に公開データの取り扱いでは、公開対象と非公開データの切り分けや確認工程が重要とされている。

こうした事案は、データ作成や公開手続きの過程での確認漏れや設定ミスなど、人為的な要因で発生するケースが多い。

通常は、問題発覚後に対象データの公開停止や削除要請、影響範囲の確認が進められ、関係者への連絡と再発防止策の検討が行われる。

今回の発表も、公開停止や削除依頼、関係者への対応が進められており、初期対応が実施されている段階の事案と位置付けられる。


この事件からわかること

今回の発表から読み取れるポイントとして、一般的には次のような点が挙げられる。

  • 公開前のデータ確認の重要性
    公開対象と非公開データの切り分けが不十分な場合、意図しない情報公開につながる可能性がある。

  • 外部指摘による発覚のケース
    一般的に、公開後の不備は外部利用者や関係者からの指摘で発覚することも多い。

  • 影響範囲の把握と対応の流れ
    アクセス状況の確認や削除要請などを通じて、影響の拡大防止が図られることが一般的である。

  • 関係者への個別対応の必要性
    個人に関わる情報が含まれる場合、対象者への説明や対応が進められるケースが多い。


関連事件


公式発表(アーカイブ)

2026年3月19日リリース文:音声コーパスの誤った公開による情報漏えいとその対応に関するお知らせ(第1報)

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)において、研究用途として公開していた音声コーパスに関し、本来公開対象外である一部の音声ファイルが誤って公開されていた事案が判明しましたので、お知らせいたします。


1. 事案の概要

2026年3月12日(木)午後3時頃、NICTにおいて研究用途向けに「音声合成用日本語複数話者音声コーパス」を公開しました。

2026年3月13日(金)午後9時頃に、公開対象外であるボイスチェック用音声ファイル115名分が、誤って公開用データに含まれていたことが、外部の研究者からの指摘で判明しました。

当該音声ファイルに含まれていた個人情報は、話者の氏名等の人の呼称に限られており、これ以外の個人情報(住所、連絡先、生年月日等)は含まれていません。


2. 判明後の対応

本事案の判明後、2026年3月14日(土)午前9時頃に以下の対応を実施しました。

当該音声ファイルを含む音声コーパスの公開停止

これにより、現在は当該音声ファイルを含む音声コーパスを新たにアクセス・ダウンロードできる状態ではありません。


3. ダウンロード状況等について

公開されていた期間中に、当該音声ファイルについて最大12件のアクセスが行われた可能性があることを確認しております。

公開時の周知先に対し、当該データの利用停止および削除の要請を実施しており、このうち、連絡が可能であった先につきましては削除のお願いを行い、すでに削除いただいた旨のご連絡をいただいております。

なお、現時点では、当該音声ファイルがインターネット上で流布、二次利用されたといった情報に接しておりません。


4. 話者の方々への対応

誤って公開された音声ファイルの話者の方々に対しては、プライバシーに配慮しつつ、個別に事実関係の説明およびお詫びを行う等の対応を進めてまいります。


5. ダウンロードされた方へ

万が一、本コーパスをダウンロードされた方がいらっしゃいました場合には、誠に恐れ入りますが、当該データの削除にご協力いただきますとともに、下記連絡先までご一報くださいますようお願い申し上げます。


6. 今後について

引き続き状況の確認を行い、必要に応じて適切に対応してまいります。

関係する皆様にご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。

また、NICTでは、本事案を厳粛に受け止め、再発防止に向けて、公開手続きおよび確認体制の見直しを含む必要な対策を講じてまいります。


用語解説

音声コーパス

音声ファイル群とそれに対応する書き起こし等の付加情報からなるパッケージを指します。

音声認識、音声合成、翻訳、話者認識、音声解析・音響等の研究やアプリ/サービス開発・評価に活用されています。

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