みずほ銀行と、持ち株会社のみずほフィナンシャルグループは8日、8~9月にあったシステム障害の調査結果を金融庁に報告した。店頭窓口の取引が停止した障害は、機器故障の予兆を見落としていたことが判明した。機器の保守点検や障害時の復旧体制を見直す。
みずほ銀の石井哲・副頭取が報告後に記者会見し、8~9月に起きた店舗窓口の取引停止や、ATM(現金自動預け払い機)のトラブルといった4件について、原因を説明した。
全国の店舗で窓口取引が停止した8月20日の障害は、機器が故障した後に予備機の故障も重なったのが原因だった。機器は約6年前に導入し、みずほは故障を想定していなかった。みずほは「システム会社から、(二重の)故障が起きる確率は4000年に1度と説明された」と強調した。ただ、同じ型番の機器で故障率は今年度2倍に増えているデータがあったが、みずほは故障の予兆としてとらえていなかった。
みずほによると、今年発生した8回の障害のうち、8月の障害のほか、外貨建て送金やATMのトラブルの計5件は、機器故障に起因するものだった。復旧に15時間を要した障害もあり、みずほは再発防止策として、機器故障の予兆把握や、障害時の早期復旧のため、システム会社からの出向者を増やすなど体制を整備する。
みずほは2019年に中枢システム「MINORI(みのり)」を稼働した。他の大手行はいずれもシステム会社1社と組んでいるが、みのりは4社に委託しており、体制の問題が指摘されている。石井氏は「みのりの安定稼働を維持・継続するための体制ができていなかった。システム会社にも入ってもらい、我々の能力を高める必要がある」と述べた。
金融庁は9月、みずほに対し、年内に計画するシステム更新を事前に報告させる業務改善命令を出したが、一連の障害原因を踏まえ、みずほにガバナンス(企業統治)上の課題がないかどうか判断する。