インターネットの世界では、匿名性を盾にして活動するサイトも多く存在します。時には「このサイトの運営者は誰だろう?」と調べる必要が出てくることもあります。
本記事では、OSINT(Open Source Intelligence:公開情報からの情報収集) を活用して、ウェブサイトの所有者を特定するための手順と便利ツールをまとめました。チェックリスト的に活用いただけます。
1. サイト自体から情報を探る
まずは対象のサイトを隅々まで調べます。
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連絡先:メールアドレス、電話番号、住所、SNSリンク
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プライバシーポリシー:運営組織名や代表者が記載される場合あり
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問い合わせフォーム/メルマガ:登録して送られてくるメールの差出人を確認
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写真や画像:逆画像検索で他サイトやSNSアカウントへたどれる可能性あり
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テキストや著者情報:記事の署名や同じ文章をGoogle検索し、他サイトの関連情報を確認
これだけでも運営者に近づける手がかりが見つかることがあります。
2. 検索エンジンを活用する
Googleの高度な検索オプション(ドークス)を活用します。
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"example.com" -site:example.com:自サイト以外での言及を探す -
filetype:pdf site:example.com:公開文書を発見 -
特定SNS内検索:シェアや言及を調査
検索エンジンは最も手軽で効果的なアプローチです。
3. WHOIS情報を確認する
ドメイン登録情報を調べるのも定番です。
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Whoxy:現在のWHOIS情報+履歴の確認
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Whoisology:メールアドレスやキーワードから逆引き検索
多くの場合は「プライバシープロテクション」で隠されていますが、過去の履歴に手がかりが残っていることもあります。
4. ウェブアーカイブやキャッシュ
過去のサイトの状態を調べることで、削除済みの情報を取り戻せます。
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Archive.org:時系列でスナップショットを確認、差分比較も可能
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Archive.is:保存とスクリーンショットに特化
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CachedPages:Googleキャッシュ+アーカイブを横断
古い情報が運営者の手掛かりになることは少なくありません。
5. サイトの変更を監視する
継続的に運営者を追跡するなら、サイト更新を監視します。
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Distill.io:ブラウザ拡張で最大25ページを監視
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FollowThatPage:更新情報をメールで通知
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ChangeDetection.io:大規模監視が可能な有料サービス
運営者の行動パターンを把握するのに有効です。
6. Google広告・解析IDから関連サイトを調査
サイトに埋め込まれた Google Analytics や AdSense のIDは、同一人物が管理する他サイト特定の手掛かりになります。
調査に便利なサービス:
7. メタデータを確認する
画像や文書ファイルに含まれるメタデータから運営者情報が得られる場合があります。
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imgonline EXIF Viewer:画像ファイルのExif情報を確認
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Metagoofil:対象サイトからPDF/Word/Excel等を収集し、メタデータを自動抽出
運営者のユーザー名や組織名が残っているケースもあります。
8. サイトの技術情報を調べる
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VirusTotal:セキュリティチェックとIP・リンク関係の解析
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crt.sh:SSL証明書の履歴を検索し、組織名や登録メールを発見
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Web-check.as93.net:DNS記録、サーバーロケーション、リダイレクトなどを可視化
直接的な特定には繋がらなくても、他情報と組み合わせることで突破口になることがあります。
まとめ
サイトの所有者を特定するのは一筋縄ではいきません。しかし、WHOIS・アーカイブ・広告ID・メタデータ・技術情報 などを組み合わせれば、匿名性の裏に隠れた運営者像に近づくことができます。
大切なのは「小さな断片を集めてつなぎ合わせる」こと。
本記事のチェックリストを活用し、OSINT調査を効率的に進めてみてください。
