【セキュリティ事件簿#2025-243】便利さの裏側に潜む、もうひとつの現実──Intune不具合が突きつけた課題

 

Microsoft Intuneを利用しているシステム管理者にとって、ここ数日ちょっとした緊張感が走ったかもしれません。

米Microsoftが、セキュリティベースラインのカスタマイズ設定が更新時に保存されないという不具合の存在を認めたのです。

問題の内容とは?

Intuneでは、セキュリティベースラインという形で推奨設定のテンプレートが提供されています。管理者はこれをもとに、自社に合わせた独自設定(カスタマイズ)を行うことが一般的です。

ところが今回、一部のバージョン(例:23H2→24H2など)に更新した際、これまでに行っていたカスタマイズが失われ、Microsoftの初期値に戻ってしまうという事象が確認されました。

Microsoftもこの問題を認識しており、現時点での対応策としては「設定を手動で再適用する」ことが推奨されています。

自動化や一元管理を目的にクラウドを導入している企業にとっては、手間もリスクも増える対応といえるでしょう。

Intuneとは?

あらためて整理すると、Microsoft Intuneはクラウドベースのエンドポイント管理ツールで、PCやスマートフォンなど多数のデバイスの設定・更新・セキュリティ管理を一括で行えるサービスです。

従来のWindows Server Update Services(WSUS)などのオンプレミス製品に代わる存在として多くの企業が採用しています。

一方で、Microsoft Configuration Manager(旧System Center Configuration Manager)と組み合わせて使われることもあり、こちらは引き続きオンプレ製品として提供されています。

「自社に最適化」が失われるリスク

今回の不具合は、特に独自のポリシー設定を重視している企業にとっては重大な問題です。

Microsoftが用意した「推奨値」をそのまま受け入れるのであれば影響は小さいものの、少しでも自社向けにカスタマイズしていると、更新によってその設定が上書き・消失するのは致命的です。

この事例は、「クラウド=万能ではない」ことを示す一例でもあります。

まとめ

クラウド管理は便利な反面、自動アップデートや仕様変更がユーザーの意図しない形で適用されるリスクも存在します。

Intuneを導入している企業は、設定のバックアップや、更新後の検証プロセスを見直す機会と捉えるべきかもしれません。

出典:Microsoft admits to Intune forgetfulness