Webアプリケーションの構成要素には、アプリケーション、プラットホーム、ネットワークなどの構成要素があります。アジャイル開発では、1〜2週間といった非常に短い単位で開発を進めていきます。このサイクルをアジャイル開発でよく使われる「スクラム」では、スプリントと呼びます。スプリントで開発する機能を優先度の高い順から選択して、選択した機能の開発とリリースを繰り返していきます。しかし、以下表のような非機能要件は、ある程度事前に検討して環境を準備していく必要があります。
大項目 | 中項目 | 説明 |
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可用性 | 継続性、耐障害性、災害対策、回復性 | システムサービスを継続的に利用可能とするための要求 |
性能・拡張性 | 業務処理量、性能目標値、リソース拡張性、性能品質保証 | システムの性能、および将来のシステム拡張に関する要求 |
運用・保守性 | 通常運用、保守運用、障害時運用、運用環境、サポート体制、その他の運用管理方針 | システムの運用と保守のサービスに関する要求 |
移行性 | 移行時期、移行方式、移行対象(機器)、移行対象(データ)、移行計画 | 現行システム資産の移行に関する要求 |
セキュリティ | 前提条件・制約条件、セキュリティリスク分析、セキュリティ診断、セキュリティリスク管理、アクセス・利用制限、データの秘匿、不正追跡・監視、ネットワーク対策、マルウェア対策、Web対策、セキュリティインシデント対応/復旧 | 情報システムの安全性の確保に関する要求 |
システム環境・ エコロジー | システム制約/前提条件、システム特性、適合規格、機材設置環境条件、環境マネージメント | システムの設置環境やエコロジーに関する要求 |
非機能要件定義として挙げた例は、情報処理推進機構(IPA)が公開している「非機能要求グレード2018」から抜粋したものです。ラックのシステムセキュリティデザインサービスでは、このうちセキュリティに関わる範囲をセキュリティ要件として整理しています。
セキュリティ要件の作成においては、開発アプリケーションの特性に応じて、次表のような業界標準や、監督官庁の提示している基準やガイドラインを参考にする必要もあります。
適用例 | 要求仕様 | 刊行 | 特徴 |
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金融業界向け | 金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書 第9版 | 金融情報システムセンター(FISC) | 金融業界向け対策基準で、主に銀行が広く利用される対策基準 |
金融分野における個人情報保護に関するガイドライン | 金融庁 | 金融業界向け対策基準で、金融業界全般で利用されるガイドライン | |
Webアプリのセキュリティ対策 | 安全なウェブサイトの作り方 | 情報処理推進機構(IPA) | 官公庁、公共のシステム構築案件に多く用いられるセキュリティ対策の要求仕様 |
認証、認可 | NIST Special Publication 800-63-3: Digital Authentication Guideline | 米国立標準技術研究所 | ダイレクトバンキング等でも用いられる、サービス利用ユーザのライフサイクルに関する要求仕様 |
ネイティブアプリ (スマホアプリ) | OWASP Mobile Application Security Verification Standard | OpenWebApplicationSecurityProject | スマホネイティブアプリ開発時に、多く用いられる要求仕様 |
アプリケーションのセキュリティ対策 | OWASP ASVS(アプリケーションセキュリティ検証標準) | OpenWebApplicationSecurityProject | 金銭取引が行われるシステム構築時に、多く用いられる要求仕様 |
クラウド運用 | ISO27017 | 日本品質保証機構 | クラウドの利用/提供に関するセキュリティ要求事項を定めた規格 |
システム非機能要求事項全般 | 非機能要求グレード2018 | 情報処理推進機構(IPA) | 機密性、可用性、完全性等の観点でシステムの非機能要求事項を定めたガイドライン |
データの秘匿化や暗号化 | 電子政府推奨暗号リスト | CRYPTREC | 総務省、及び経済産業省が推奨する暗号技術の評価 |
参照すべきガイドラインや基準は多岐に渡り、随時更新されていきます。こうしたガイドラインや基準には、具体的な実装方式などは記載されていないこともあるので、ガイドラインや基準を満たす実装方式についても情報収集と判断が必要になります。ラックのセキュリティコンサルティングサービスは、様々な業界のお客様を支援していますので、常に最新の業界動向に応じた要件と、具体的な実装方法を提示することが可能です。