Googleのシステム障害、認証サービスダウンがはらむリスクがあらわに(転載)~クラウドサービス使うときは、年1回程度の大規模障害を受け入れる覚悟が必要~


Googleのシステム障害、認証サービスダウンがはらむリスクがあらわに:

 2020年12月14日20時55分ごろから約50分間にわたってGoogleの主要サービスが使用できなくなった。日本ではすでに終業時間の企業が多かったが、Googleアカウントに関連するサービスが約50分間使用できなくなった。

サービスダウンではなく認証システムのトラブル、発生の要因は

 本稿執筆時点でGoogleから今回のサービス停止に関する詳細報告はない。現時点では「Google Cloud Status Dashboard」に掲載されている簡素な説明が障害の原因を伝えるのみだ。

 執筆時点での説明によれば、今回のサービス停止は「Google Cloud Platform」および「Google Workspace」で動作するもののうち、アカウントログインと認証を必要とする全てのサービスで発生した。原因は、クラッキングなどではなく、自動化されたクォータ(quota)管理システムにあるとされている。

 クオータとは、システムやアプリケーションごとにストレージの利用条件を設定する仕組みだ。一つのサービスがストレージを全て使い尽くしてしまうリスクを避ける場合などに使われる。

 今回の障害は、Googleが運用する「中央ID管理システム」が必要とするストレージ容量が、クオータの設定によって不足したことで、認証システムが適切に動作しなくなったことが原因だという。データ量がクオータの設定上限に至った理由や自動拡張されなかった理由はまだ明らかになっていないため、単純な設定の問題か、認証サービスダウンを狙った悪意ある攻撃の影響なのかは定かではない。

単一アカウントを使用することの利便性と危険性

 「Google Workspace」を契約するビジネスパーソンであれば、Googleが提供するさまざまなサービスを利用していることだろう。Google以外のサービスの認証にGoogleアカウントを利用するケースも考えられる。

 今回のサービス停止は、こうした単一のアカウントに依存した状況が障害発生時の回避方法の選択肢を狭めるものであることを示す結果となった。障害が発生した時間帯が日中であればさらに多くの企業が影響を受けた可能性がある。

 今回の問題はGoogleが直接提供するサービスに限定されるものではなく、Googleの認証機能を使用するサードパーティー製のサービスでも発生した。