AWSで障害、多数のウェブサイトやアプリに影響(転載)~クラウドを採用するということは、障害発生時に指をくわえて見守るしかないことを覚悟せよ~


アマゾンで障害、多数のウェブサイトやアプリに影響:

Amazon Web Services(AWS)で米国時間2021年12月7日に障害が発生し、複数のウェブサイトやアプリを一部のユーザーが利用できない状態になった。AWSでは、「Disney+」「Robinhood」「Barclays」「Slack」などのサービスに処理能力やストレージを提供している。今回の障害では、ワシントンDCやニューヨーク市を含む米国東海岸の地域に障害発生の報告が集中していた。

障害に関するデータを収集するDown Detectorには、7日の米国東部時間正午前の時間帯に、AWSを利用するサイトの障害報告が1万1000件以上まで急増している様子が示されている。

システムアクティビティーをモニタリングするためのAWSのステータスページには、同社のバージニアにある施設で発生した問題がUS-EAST-1リージョンに影響を与えていると記載されている。その問題は、企業がウェブサイトやアプリを運用するために使用する、複数のAWS製品に影響を与えたようだ。

「根本原因を特定済みで、復旧に向けて鋭意対応している」と更新情報には記されている。

Down Detectorには、数十件のサービスの障害報告も示されているが、そのすべてがAWSの障害が始まった時間から発生している。Amazonそのものに加えて、傘下のサービスである「Ring」「Prime Music」「Alexa」「Chime」や、TicketMaster、Google、McDonald's、Venmo、Cash App、そして米社会保障局のオンラインアカウント用ポータルであるMy Social Securityなども、7日の午前11時頃から障害に見舞われている。

ー2021/12/15追記ー

AWS、12月7日の大規模障害について詳細を報告アーカイブ

みずほFG システム障害頻発で首脳陣一新・・・(転載)~ITを理解できない人が会社を経営するとこうなる~

みずほFG システム障害頻発で首脳陣一新…ついに消滅した「興銀の栄光」

官界通(以下=官):みずほフィナンシャルグループ(FG)の佐藤康博会長(69)と坂井辰史社長(62)が、度重なるシステム障害で利用者に不便と不安を与えた責任で、ようやく辞任を決めたな。2人はみずほの母体の一つ、旧・日本興業銀行の出身。ある興銀OBが「これで、栄光の興銀の歴史は終わる」と嘆いていた。

政界通(同=政):責任は明確だったのに、なぜ体制一新が遅れたの?

財界通(同=財):2人に「辞任は当然」とする一般の感覚が欠けていたからだろう。

官:興銀出身という点が、関係しているのか?

財:そうだと思う。興銀は明治時代に産業振興のために設立された国策銀行で、債券を発行して得た資金で融資を拡大。とくに鉄鋼、造船、化学、電力など巨大な装置を必要とする重工業の発展に貢献した。戦後も金融債の「ワリコー」「リッキー」が富裕層の人気を集め、2002年4月に経営統合でみずほコーポレート銀行に衣替えするまで存在感を維持した。

官:そう、「財界の鞍馬天狗」の異名を持つ中山素平氏をはじめ歴代頭取は、海外や財界でも活躍した。

政:それに比べ、佐藤氏や坂井氏は小粒で、巨大銀行の舵取りを誤ったということか。

■リテールのあるメガのトップは無理だった

財:そこまでは言わないが、大企業金融の世界で育った人が膨大な個人や中小零細の業者をお客に持つメガバンクグループのトップを務めることに、無理があった。数字優先で、統合の相手だった富士銀行系や第一勧業銀行系の支店を減らし、システム要員らの削減へ猛進した。

政:それが、障害頻発の遠因か。

官:金融庁が出した業務改善命令にも、その視点がある。

財:辞任は2人だけでなく、傘下のみずほ銀行の藤原弘治頭取(60)も辞める。ただ、藤原氏の後任は富士出身の加藤勝彦副頭取(56)に決まったが、FGトップは未定だ。

官:金融庁の雰囲気では、興銀出身者が3代続けて就任する可能性はないな。

財:当然だ。今回だけでなく、もう二度とないかもしれない。


【参考】

みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について (バックアップ


CSIRTマテリアル(構想フェーズ・構築フェーズ・運用フェーズ)リニューアル



hiro_ retweeted:
CSIRTマテリアル(構想フェーズ・構築フェーズ・運用フェーズ)を更新しました。どうぞご利用ください。^YK jpcert.or.jp/csirt_material…


CSIRT(シーサート: Computer Security Incident Response Team) とは、組織内の情報セキュリティ問題を専門に扱う、インシデント対応チームです。

近年の組織 (企業) の IT 利用の拡大に伴い、情報セキュリティ対策は組織にとって重要な問題となってきています。高度に複雑化し、かつインターネットを介して大容量のデータを瞬時に、しかも容易に世界中とやり取りできる IT システムの利用が一般的になったことで、単に「現場 = システム管理者」の頑張りだけで済む問題ではなくなってきています。例えば、情報システムがコンピューターウイルスに感染してしまったために、顧客の個人情報が世界中にばら撒かれてしまったといった事態を考えてみれば、情報セキュリティの問題が、もはやシステム管理者だけの問題ではなく、経営層が積極的に関与しなければならない問題であることは容易に想像できると思います。このような中で、組織の情報セキュリティ対策として注目されているのが、情報セキュリティの問題を専門に、ただし組織全体の視点から取り扱うCSIRTの構築です。

CSIRTマテリアルは、組織的なインシデント対応体制である「組織内CSIRT」の構築を支援する目的で作成したものです。これから自組織内にCSIRTを構築しようと考えている組織の方が、それまでのインシデント対応経験をもとに、既存の体制を整理したり、見直したりしてCSIRTの構築に繋げる際の参考として頂くことを意図しています。一連の資料では組織内CSIRTが一般的に備えるべき機能や能力等について説明していますが、すべての組織内CSIRTがそれらを達成しなければならないというものではありません。それぞれの組織の状況に応じた適切なCSIRTの形があり、本資料がそれを見つける際の助けとなれば幸いです。


NHK子会社社員を懲戒解雇 2,800万円分チケット換金、私的流用(転載)~経理担当が裏切らないとは限らない。内部不正対策の観点からもゼロトラストの発想が必要~

経理担当が裏切らないとは限らない

NHK子会社社員を懲戒解雇 2800万円分チケット換金、私的流用

仕事で使うと装って旅行会社から新幹線のチケット約2,800万円分をだまし取り、現金化して私的に使ったとして、NHKの子会社NHKグローバルメディアサービスは2021年12月10日、40代の男性社員を懲戒解雇にし、発表した。

同社によると、社員は2021年7月~10月、取引先プロダクションの架空の出張名目で85件約2800万円分のチケットを旅行会社から受け取り、JRの窓口で払い戻して、自身のローンの返済などにあてていたという。代金は未払いで、グローバル社が弁済した。

2017年から今年7月までに同様の方法で購入、現金化したチケットは計約1億5千万円分にのぼり、代金は新たなチケットの払い戻しなどで支払ってきたといい、今回の未払い分も「いずれは返すつもりだった」と話しているという。

同社は告発などについて警察と相談しているといい「あるまじき行為であり、深くおわびいたします。再発防止に向けて全社的な取り組みを徹底してまいります」とのコメントを出した。

スイパラ通販利用者がクレカ不正利用被害に 運営元は「因果関係を調査中」(転載)

スイーツパラダイスの不正アクセス被害

スイパラ通販利用者がクレカ不正利用被害に 運営元は「因果関係を調査中」

「スイーツパラダイスの公式通販サイトを利用した後、クレジットカードが不正利用された」——そんな報告がTwitter上で相次いでいる。スイーツバイキングチェーン店「スイーツパラダイス」を運営する井上商事は報告を受け、2021年12月9日に公式通販サイトを一時閉鎖。取材に対し「事態は認識しており、原因がどこにあるのか確認中」としている。

Twitterでは9日午後8時ごろ、11月下旬に開催されたオンラインゲーム「原神」のコラボカフェイベントなどの際に同サイトでクレジットカード決済を行った人々から、上記のような報告が上がり始めた。海外のショッピングサイトやAppleなどの名義で身に覚えのない引き落としがあったという。



井上商事に問い合わせたところ「Twitterでの報告を見て気付き、被害が拡大しないよう公式通販サイトをメンテナンス中とした」と説明。「問題の原因が当社にあるのか、別のところにあるかを含めて現在調査中」としている。

日本の政府機関が富士通のツールを足掛かりにデータ漏洩の被害を受ける / Japanese government agencies suffer data breaches after Fujitsu hack(転載)~ソリトンの次は富士通かぁ~

Japanese government agencies suffer data breaches after Fujitsu hack

富士通の情報共有ツール「ProjectWEB」を介して、日本の複数の省庁が不正アクセスを受けました。

富士通の発表によると、ProjectWEBを利用したプロジェクトへの不正アクセスが行われ、一部の顧客情報が盗まれたとのことです。

なお、今回の不正アクセスが、脆弱性を狙ったものなのか、サプライチェーンを狙ったものなのかは明らかになっておらず、現在調査を進めています。

攻撃者は、少なくとも76,000件のメールアドレスにアクセス

昨日、国土交通省と内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、富士通の情報共有ツールを介して攻撃者が内部情報を入手できたことを発表しました。

また、富士通は、攻撃者がProjectWEBを利用したプロジェクトに不正にアクセスし、独自のデータを盗み出したと発表しました。

富士通のProjectWEBは、企業や組織が、プロジェクトマネージャーやステークホルダーなどと、社内で情報を交換することを可能にします。

ProjectWEBログイン画面

ProjectWEBを経由して政府機関のシステムに不正にアクセスすることで、少なくとも76,000件のメールアドレスや、メールシステムの設定などの専有情報を取得することができたことが、国土交通省によって確認されています。

富士通の資料によると、2009年の時点で、このツールは約7,800のプロジェクトで広く使用されていたとのことです。

情報共有ツールの活用例を示す富士通ProjectWEBの概要  

なお、流出した電子メールアドレスには、専門家会議のメンバーなど外部の関係者のものも含まれており、個別に通知を受けています。

成田空港でも、航空管制データやフライトスケジュール、業務に関する情報が盗まれ、影響を受けました。

また、日本の外務省では、情報漏えいにより、一部の研修資料が流出しました。

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、富士通のツールを利用している政府機関や重要インフラ組織に対し、不正アクセスや情報漏えいの兆候がないか確認するよう、複数の注意喚起を行いました。

富士通、オンラインポータル「ProjectWEB」を一時停止

富士通は、この問題の範囲と原因を完全に調査している間、ProjectWEBポータルを停止しているとのことです。

ログインポータルへのURLにアクセスしようとするとタイムアウトしてしまいます。


ProjectWEBポータルは「soln.jp」ドメインでホストされていたため、自分の組織が影響を受けているか、あるいはかつて顧客であったかどうかを確認する一つの方法は、ネットワークログにこのドメインや前述のURLの痕跡を探すことです。

富士通は、プレスリリースの中で、関係当局に通知するとともに、顧客と協力して侵害の原因を特定すると述べています。

現在、富士通はこの事件を徹底的に調査しており、日本の当局と緊密に協議しています。富士通の広報担当者は、「予防措置として、このツールの使用を停止し、影響を受ける可能性のあるお客様にはその旨をお伝えしています」と述べています。

この攻撃の技術的な詳細については未定ですが、この事件は、何百もの顧客組織に影響を与えたファイル共有ツール「Accellion」のハッキング事件と似ています。

【参考】

ー12/14追記ー

ランサムウエアギャングLV-BLOGがwww.kobebussan.co.jpのデータをハッキングしたと主張


LV-BLOG https://darkfeed.io/2021/12/11/lv-blog-27/

LV-BLOG

https://darkfeed.io/2021/12/11/lv-blog-27/

株式会社神戸物産(こうべぶっさん、英: KOBE BUSSAN CO.,LTD.)は、兵庫県加古川市に本社を置く日本の企業。主に業務用食品の販売を手がけるフランチャイズチェーン (FC) 方式のチェーンストアである。1981年(昭和56年)創業。小売店舗は「業務スーパー」の名で全国展開しており、当名称は同社の商標となっている。本店については2021年(令和3年)4月3日より加古川市に移転。

なお、広島市に拠点を置く株式会社アクト中食(1911年〈明治44年〉創業)は、当社の「業務スーパー」と業態が同じ店舗「業務用食品スーパー」を瀬戸内地方で展開しているが、互いに無関係である。アクト中食は「業務用食材流通グループ (NCF)」に加盟する企業であり、その意味での「業務用食品」である。

週刊OSINT 2021-44号 / WEEK IN OSINT #2021-44(転載)


 今号もたくさんのテーマで素敵なアップデートが行われました。プライバシーからニュースサイトまで、そして盗まれた美術品からShodanの問い合わせまで。

  • ID-Art Mobile App
  • Craig Silverman Newsletter
  • 360Cities
  • Browser Privacy
  • Google Mobile Friendly Test
  • AllYouCanRead
  • Dark Web Queries for Shodan

ツール: ID-Art Mobile App

Sylvain Hajriさんから、インターポール(国際刑事警察機構)が提供する、盗まれた美術品を特定するための新しいアプリを教えていただきました。このアプリは、データベースにアクセスして、種類、名前、アーティスト、国別に検索することができます。作品の写真を比較した後、作品そのものを通報することもできます。もう一つの機能は、他のオブジェクトやサイトにタグを付けることで、例えば破壊行為に対してタグを付けることができます。ご興味のある方は、アプリの紹介ビデオをご覧いただくか、AndroidまたはiOSでダウンロードしてください。


小技: Craig Silverman Newsletter

クレイグ・シルバーマンがニュースレターを再開することになりました。第1号では、Facebookについての長文のパートがあります。次にosintmeのブログ記事があり、続いてAmazonがウェブストアで自社製品を競合他社よりも押し出していることが紹介されています。そして、最後の項目は再びFacebookについてで、詐欺師たちに素晴らしいプラットフォームを提供しているというものです。次号がどんな内容になるのか楽しみですが、すでに素晴らしいスタートを切っていますね。


サイト: 360Cities

Ritu Gillは絶好調で、自身のTwitterアカウントで素晴らしいリンクを共有し続けています。今回は、360°の画像や動画を集めたサイト「360cities」です。このサイトには、さまざまな視点、豊富なキュレーションセット、そしてギガピクセルギャラリーなどの優れた機能があります。ギガピクセル・ギャラリーといえば、こちらのサイトもお忘れなく。


小技: Browser Privacy

Ritu Gillがシェアしたもう一つのリンク、今回はブラウザのプライバシーについてです。Braveは、スタート画面の肥大化や暗号の自動入力問題など、ここ2、3年でニュースになった話題にもかかわらず、高い評価を得ています。また、Braveにはたくさんの設定項目があるという問題がありますが、これは非常にタイトなもので、真にプライベートなオプションとなりますし、オープンソースです。Chrome、Safari、Edgeなどの標準的なブラウザが苦手な方も、この概要を読めば、他のブラウザやあなたのプライバシーの取り扱いについて十分な情報が得られるでしょう。


小技: Google Mobile Friendly Test

TOCPの10分Tipsのひとつに、LinkedInのプロフィールを匿名で見る方法がありました。また、Googleのモバイルフレンドリーテストが少し見直されたようです。スクリーンショットやHTMLコードを見るには、まず、フレンドリー度の評価の下にあるview tested pageをクリックします。また、サーバーから送られてきたレスポンスヘッダーなど、技術的な情報も掲載されています。


サイト: AllYouCanRead

Nico 'Dutch OSINT Guy' Dekens氏は先日、「AllYouCanRead.com」というとてもクールなサイトを紹介してくれました。このサイトには、新聞、雑誌のほか、クラシファイド、ジョブ、ソーシャルネットワークなどのサイトへのリンクが多数掲載されています。外国で何か情報源を探す必要があるなら、絶対にここを利用すべきだと思います。この素晴らしいサイトに感謝します。


メディア: Dark Web Queries for Shodan

Sinwindieさんが、Shodanを使ってTorサーバーの匿名性を解除するための基本的なテクニックを紹介する動画をアップしました。このビデオでは、オニオンリンクの検索方法、ファビコンを使ったサーバーの検索方法、サーバーからのリクエストとレスポンスのヘッダーがどのようにマッチするかを特定する方法などを紹介しています。これらの基本的なテクニックは、Torサイトの所有者がサーバーを正しく設定していない場合に結果を出すことができ、実際のIPアドレスを見つけることができます。

SplunkをRSSリーダーに仕立てる。。。のメモ(転載)


github.com/LukeMurphey/sp…

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概要
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このアプリは、シンジケーションフィードをSplunkにインポートする仕組みを提供します(RSS、ATOM、RDF)。



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Splunkの設定
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以下の方法で、本アプリをSplunkにインストールします。

  1. Splunk Web にログインし、Splunk のユーザーインターフェースの左上にあるアプリのドロップダウンから「Apps " Manage Apps」に移動します。
  2. install app from file」ボタンをクリックします。
  3. Choose file" をクリックしてファイルをアップロードし、アプリを選択します。
  4. アップロード」ボタンをクリックします。
  5. Splunk の再起動を促すダイアログが表示されたら、Splunk を再起動します。

アプリをインストールしたら、新しい入力を設定することで、アプリを使用することができます。
  1. Splunk のユーザーインターフェースの上部にあるメニューから"Settings » Data Inputs"に移動します。
  2. "Syndication" をクリックします。
  3. "New"をクリックして、入力の新しいインスタンスを作成します。

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サポートを受ける
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サポートが必要な場合は、以下のサイトにアクセスしてください。


このアプリのソースコードや技術的な詳細は、以下のサイトでご覧いただけます。


CIS Controls v8日本語訳をリリース(転載)~ポイントは「リスク管理」から「情報管理」へ~

セキュリティ対策、どこまでやる?CIS Controls v8日本語訳をリリース

米国CIS(Center for Internet Security)が発行しているCIS Controls(シーアイエス コントロール)は、あらゆる規模の組織が活用できる、サイバーセキュリティ対策の具体的なガイドラインです。IT環境の変化や攻撃の高度化に伴い、クラウドコンピューティングやモビリティ、サプライチェーン、テレワーク環境などに対する、新しい攻撃手法への対応を加えたバージョン8が2021年5月18日にリリースされました。

このCIS Controls バージョン8の日本語版が米国CISのWebサイトからダウンロードできます。この記事では、CIS Controlsのコンセプトと活用方法についてご紹介します。

 CIS Controls Version 8(日本語版)のダウンロード

CIS Controlsとは何か

CIS Controlsは、米国のセキュリティ非営利団体であるCISが、企業がサイバーセキュリティ対策として取り組むべきことをまとめたガイドラインです。もともとは2008年にアメリカ国防総省(DoD)とアメリカ国家安全保障局(NSA)が外部脅威による情報漏洩を防ぐガイドラインとして策定を開始したのが始まりです。その後、SANS InstituteやCCSのもとで改訂を重ね、2015年からはCISが管理しています。

CISでは、CIS Controls以外にも様々なフレームワークやツールを提供しています。その中でもサイバーセキュリティ対策に取り組む企業が最初に参照すべきリソースがCIS Controlsです。CIS Controlsは、サイバー攻撃対策に焦点を当て、具体的に何をするべきかを、あらゆる規模の組織が利用できるように書かれています。現状の自社対策レベルを評価し、不足しているところや強化すべき箇所を整理できます。

具体的な実装のベストプラクティスについてはCISの他のドキュメントが参考になります。例えばCIS Benchmarks(ベンチマーク)はOSやミドルウエアの安全な設定に関するベストプラクティス集です。日々、CISとコミュニティがレビューを重ねているので対象となるソフトウエアも増加し、最新バージョンに適合するように更新されています。


CIS Controlsの構成と主なコンセプト

CIS Controlsには、「18のコントロール」と「153の具体的なセーフガード(保護手段)」が記載されています。ITの複雑化と攻撃手法の高度化に伴い、セキュリティソリューションも複雑化しています。CIS Controlsでは、あらゆる規模の組織が適切な優先順位でセキュリティ対策を実施できるよう、対象となる企業を3つのグループに分けています。

最初のグループ(IG1)は、IT資産や人員を保護するためのITおよび、サイバーセキュリティのリソースが限られている中小企業です。次のグループ(IG2)は、システムが取り扱うデータの機密性やサービスのクリティカル度はIG1に属する企業群より高くなり、自社内にITインフラの運用管理とITセキュリティを担当する部署を持つ大企業が該当します。最後のグループ(IG3)ではデータの機密性やサービスのクリティカル度は非常に高くなり、高度なセキュリティ専門部門が必要となります。IG3は公的サービスを提供する企業や業界規制遵守が求められる企業が該当します。

※ IG(Implementation Group):実装グループ


18のコントロールにある「153の具体的なセーフガード(保護手段)」には、IG1からIG3のそれぞれのグループにおいて、その対策が推奨かどうか示されています。企業はこのマトリクスを利用することで、自社のセキュリティ対策が必要な水準に達しているかどうか、現状の対策レベルをアセスメントできます。そして不十分なセキュリティ対策については、対応の優先順位を決めて計画立案できるようになります。


CIS Controlsから感じ取った3つのメッセージ

個々のコントロールと具体的なセーフガード(保護手段)については資料をご覧いただくとして、ここではCIS Controlsのメッセージを3つご紹介します。

平時のIT衛生管理(ハイジーン)の重要性

まず、最初に挙げるのはサイバーセキュリティ対策における「平時の衛生管理の重要性」です。サイバーセキュリティ対策において「平時の衛生管理」とは、「(PCなどの)アセットの把握と管理」、「(利用している)ソフトウエアの把握と管理」、「(保持している)データの把握と管理」、「(ソフトウエアやサービスの)安全な設定」、「アカウントの把握と管理」、「アクセス権の把握と管理」などです。このような当たり前の基本的なことをシッカリと着実に実施することが重要です。

先ほどの実装グループのうち、IG1は「基本的なサイバーハイジーン」であり、「すべての組織が適用すべきサイバー防御の基本的な保護手段のセット」と定義されています。「ハイジーン(Hygiene)」とは「衛生」という意味の英単語です。コロナ禍の感染予防策として「手洗い・うがい」、「マスク着用」、「ソーシャル・ディスタンス」などの平時の衛生管理をキチンと行うことの重要性を多くの方が認識したと思います。サイバーセキュリティ対策においても平時からの衛生管理が重要です。

CISの調査によると、IG1の対策を実装することで、マルウェア、ランサムウェア、Webアプリケーションハッキング、内部特権者の不正と過失、標的型攻撃などの主要なサイバーセキュリティリスクの70%以上を回避できるとされています。詳細については以下のレポートを参照ください。

CIS Introduces v2.0 of the CIS Community Defense Model

サイバーセキュリティ対策の自動化

次に挙げるのは、サイバーセキュリティ対策の「自動化」です。CIS Controlsでは各コントロールの「手順と対策」において、サイバーセキュリティ対策の実装と自動化を可能にするプロセスとテクノロジーについて説明が記載されています。

ここでCIS Controlsが意図している「自動化」はオートメーションというより、ツールなどを使うことで正確な情報を収集し、再現可能性を担保することを意識しているようです。先に記載した平時のIT衛生管理で必要な事(PC、ソフトウエア、アカウント、アクセス権の把握と管理)を着実に繰り返し実施していくためには何らかの自動化ツールが不可欠でしょう。

最新の話題と安定性のバランス

最後に挙げるのは「最新の話題と安定性のバランス」です。IT環境の複雑化と攻撃手法の高度化に伴い、セキュリティソリューションも複雑化してきています。CIS Controlsでは新しい防御技術に目を向ける一方で、あまりに複雑で新しすぎるソリューションについては「真新しいおもちゃ」として除外すると宣言しています。こうした「最新と安定のバランス」がCIS Controlsが支持される理由の1つではないかと考えます。

サイバーセキュリティ対策に関する最新の話題として、「ゼロトラストセキュリティ」に関心が集まっています。バージョン8では「ゼロトラスト」という明確な表現は出てきませんがクラウドの活用やリモートワークを意識した内容になっています。バージョン6(またはそれ以前)のCIS Controlsを使用している場合は、可能な限り早くバージョン8への移行計画を開始することが推奨されています。クラウド活用が進んでいる今こそ、スタンダードをバージョン8に切り替えるべきではないかと考えます。

ー2021/12/12追記ー

■CIS Controls v8で見直されたコンセプトの変更

①「リスク管理」ではなく「情報保護」

v7.1までは「Sub Controls」という表現が使われていたが、v8では「Safeguards」という表現に変わっている。Safeguardsとすることで、より情報を保護する意味合いが強調され、リスクをコントロールするための管理策のままでは、情報保護の実効性が得られないと考えたのではと推察できる。これまでは、管理策としてこういう活動が必要だという記載であったのを「どのように物事を管理していくのか」と踏み込んだ記述になっているのもガイドとしての価値が向上したと考えられる。

②管理策を統合し、抽象度を上げて保護策のカテゴリ数や項目数を減少

カテゴリ数は20から18に減少している。より重要なものが分かるように、また、使いやすいように見直された。

保護策の項目数も171→153に減少、要求事項が少なくなったというより、冗長な記述となっていた個所は統合されており、やや抽象的な表現となっている。例えば、v7.1の「特権IDのログイン失敗ログの検知」や「特権アカウントの追加の通知」という項目は、v8ではまとめて「詳細なログを集める」のような記載となっている。そのため、活用にあたっては、保護策の実施や適用状況の評価に際して自ら評価環境を理解するとともにリスクを特定する必要がある。抽象度が高い保護策は、組織内で行われるべき具体的な対策を自ら考え、その妥当性を評価することになる。この点は、これまでより正しく活用するための難易度を上げたとも考えられる。

③Basic ControlsからBasic Cyber Hygieneに

v7.1ではトップレベルの#1から#6をBasic Controls(基礎的対策)とし、基礎的対策を行うことがサイバー攻撃による侵害のリスクを85%低減されるとされていた。

v8ではBasic Cyber Hygiene(サイバーセキュリティ確保のための基本となる事前対策)として、18のカテゴリそれぞれに、どんな組織も必ず、先行して取り組むべきという推奨保護策が記述されている。53と限定的でより簡単に組織が具体的なセキュリティ対策のための活動に取り組みやすくなっている。

④ネットワークの内と外を区別しない

ゼロトラストアーキテクチャでも強調されていることではあるが、CIS Controls v8においても、インターネットと社内LANを区別する境界防御の表現はなくし、"Network Monitoring and Defense"に変更されている

⑤単なる自動化では不十分、保護策が連携され機能している状態が必要

CIS Controls v8では、2017年に米調査会社フォレスター・リサーチ社により再定義されたZero Trust extended(ZTX)の7つの項目のうち、「Automation and Orchestration(自動化と調和)」を発展させ、Align(連携)という概念が強調されている。CIS Controlsでは、ツールを使ってシステム的にリスク対応策を実装し、常時繰り返し可能、かつ、抜け漏れなくリアルタイムにサイバー攻撃から組織を保護することを推奨してきた。自動化と調和を強調した保護策連携について、最新の事例を挙げると、ネットワーク上のサンドボックスのアラート情報をAPI連携してエンドポイントの管理センターに送り、端末の状態を修復するところまでを自動対応できるように構築する等のテクニックがある。