事業会社における適切なセキュリティ投資額は?



「セキュリティってどこまでやればいいの?」

これ、永遠の課題です。

やろうと思えば、青天井にお金を使うことができます。

しかし、セキュリティは利益貢献にはつながりません。
(CSR的な貢献までです。。。)

そんなものに対してどうやって最適解を求めるのか?

一つに切り口は会社規模です。

会社の売上高の〇〇%とかいうやつ。

セキュリティの場合、IT予算の〇〇%とかいう言い方します。

というわけで、セキュリティの場合は、まずはIT予算がないと始まりません。

IT予算の比率って業界ごとに異なってきます。

システム障害やサイバー攻撃の発生が社会的に大きい業界は当然比率が高くなります。金融機関が最も高く、社会インフラ(重要インフラ)分野などが比較的高い感じ。

この辺をJUASが毎年整理してくれていています。


ちなみに過去に3社の事業会社でIT運用やってきた実体験としては、
3%以上が理想で、しっかりIT投資ができおり、PDCAサイクルもしっかり回っている感じ。

これが2%になるとIT投資は何とかできているが、PDCAサイクルはやや不安定な感じ。

0.5%になるともはやいろいろな意味でオワタ感じ。(IT投資は不十分。PDCAサイクルは崩壊。仕事は完全に属人的になり、人材の入れ替わりが激しい。。。)

ユーザー企業でITやりたい方々は、こういった情報を参考にしっかりIT投資している会社に就職/転職しましょうね。

図の中でいうと、建築・土木業はアウトです。自分も転職活動の際、この業種だけは外して活動していました。

少し話がそれましたが、IT予算がそれぞれの企業の売上高で決まるため、セキュリティ予算はIT予算の20%とかよく言われています。

私の所属組織もIT予算の20%をセキュリティ予算とし、施策を立てています。

【参考資料】
企業IT動向調査2017

FIMって何だ?


とある海外企業からセキュリティに関するヒアリングシートが届いた。

・アンチウイルスソフト入れていますか?
・EDR入れていますか?
・F/W入れていますか?
・Proxy入れていますか?
・メールフィルタリング入れていますか?
・Webフィルタリング入れていますか?
・IPS入れていますか?
・IDS入れていますか?
・DDOS対策していますか?
・SIEM入れていますか?
・WAF入れてますか?
・FIM入れていますか?

・・・FIMって何だ?

ってことでFIMについて少し調べてみた。

ちなみにFIMとはマイクロソフト(通称「マイクソ」)のForefront Identity Managerのことではないです。一瞬そうなりかけましたが、質問の流れからいって、ここで特定企業の製品名が出てくる訳無い。。。

FIMとは、File Integrity Monitoringの略らしい。


Integrityといえば、セキュリティのCIAの一つですな。

Confidentiality(機密性)

Integrity(完全性)

Availability(可用性)

これ、この用語だけだとなんのこっちゃということになるので、自分は銀行ATMで例えるようにしています。

機密性:自分の口座の預金残高が他人に漏れない事

完全性:1000円引き出したら口座残高が-1000円される(-1100円されたりしない)

可用性:ATM稼働時間は必ずATMが使える

そんなわけで、File Integrity Monitoringはファイルの完全性(=不正な変更の検知)を担保する仕組みということです。

カード決済や機密データを扱うアプリケーションであれば、FIMはコンプライアンス上、必須になってくるのかもしれません。

イメージしやすい例としては変更監視ツールで、レジストリやポート、プロセスなどの変更監視かもしれません。

以前某ソフトウェアの脆弱性を突いてcronを勝手に書き換えられ、仮想通貨の発掘をさせられた事件がありましたが、こういうのの検知に役立つかもですね。
(ちなみにこの事件はCPUが100%に張り付き、リソース監視で検知されました。)

ちょっと話がそれるけど、仮想通貨のベースになるブロックチェーンを活用してもFIMみたいなことはできるのだろうか?

[インシデント]近藤ニット株式会社(evam eva online shop)


■近藤ニット株式会社
[企業情報]
業種:繊維工業
資本金:1000万円
従業員数:30~50人
企業URL http://www.evameva.com

[インシデント発覚日]
2018年6月19日

[インシデント概要]
Webアプリケーションの脆弱性を突かれ、2018年3月7日から2018年6月19日にかけて、クレジットカード会員データが抜き取られる。

[被害/影響]
358件の個人情報(クレジットカード情報)流出

[想定損害額]
9,308,000円

[原因]
(企業側見解)
Webアプリケーションの脆弱性

(私の見解)
システム運用における怠慢(サーバへのパッチ未適用)と想定

[プレスリリース]
evam eva online shopへの不正アクセス発生についてのご報告とお詫び

[コメント]
2018年3月から発生ということなので、WordPress、Joomla、Drupal辺りのCMS(Content Management System)の脆弱性か、Apache Strutsの脆弱性でも受けたのだろうか。

従業員数の規模からいってIT担当者を確保するのは少々難がある気がするので、クラウドサービスに移行してしまうのが最良の解決策だと思う。

少々のお金をケチって自前でサーバを立てても、運用管理がしっかりできなければ脆弱性を突かれて情報漏洩してしまうのがオチである。

今回の想定損害額はクレジットカード流出と、対応が後手に回った点を加味して930万円としたが、ほぼ資本金と同額である。授業料としては少し高すぎた印象。

今回の件を教訓に引き続き事業を頑張ってもらいたい。

パスワード強度を考える


ユーザー認証で一番多いのはやはりユーザーIDとパスワードだと思う。

最近は生体認証やデバイス認証も出てきているが、まだまだIDパスワード認証が多いのではなかろうか。

最近はパスワードの定期変更要否に関する議論があったりと、ベースラインが変わりつつあるので、少し整理する

■パスワード強度について
NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)JPCERT/CCが見解を出しているので、貼り付けておく。




←NISCの推奨


←JPCERT/CCの推奨







それぞれのいいとこどりをすると下記を満たすパスワードが理想となる。

『パスワードは少なくとも英大文字小文字+数字+記号で 12 文字以上』

■パスワードの定期変更について
上記を満たすパスワードで、かつ使いまわしをしていなければパスワード変更は不要。

2017年にNIST(米国国立標準技術研究所)が上記の方針を打ち出し、2018年に日本の総務省もこれに追随する旨の方針を打ち出しました。

しかしこれ、大前提として、「パスワードが使いまわしされておらず、パスワード強度が
英大文字小文字+数字+記号で10文字あると、約2785京の組み合わせとなり、1秒間に5回の入力で総当たり攻撃しても、全部を試すまでに約1760億年かかるので大丈夫」
という前提があります。

この前提をすっ飛ばして「総務省がパスワード変更は不要といいました」というおバカな報道をする人たちが大量に出て閉口しました。

背景含めてまともな報道したのは朝日新聞くらいではなかろうか。

【参考リンク】
STOP! パスワード使い回し!キャンペーン2018
ネットワークビギナーのための情報セキュリティハンドブック
総務省「国民のための情報セキュリティサイト(安全なパスワード管理)」
電子的認証に関するガイドライン(SP 800-63)

ADS(Alternate Data Streams)とは


ADS(Alternate Data Streams / 代替データストリーム)という言葉にぶち当たったので、備忘録。

ポイントは下記の6つ。
ちなみにADSに出会ったきっかけは4.
ADSを使った不審なモジュールがあるとEDR(Endpoint Detection and Response)システムからアラートを受け、調べることに・・・。

1.NTFSファイルシステムのファイル/ディレクトリに保存できる、隠しファイル
2.1つのファイル/ディレクトリに対して複数のADSを保存できる
3.用途の例としては、インターネットからダウンロードしたファイルを開く時に警告画面を表示させる、など
4.Poison Ivy(トロイの木馬)などのマルウェアの隠し場所としても悪用されているらしい
5.streams.exeでADSの検索/削除が可能
6.Windows標準機能(コマンドプロンプト、PowerShell含む)でも、ADSの作成/検索/削除が可能

インシデントレスポンスで、ガチでテクニカルな部分をやるには、やはりOSやファイルシステムの深いところまで抑えないといけないのか。。。

ユーザー企業でのセキュリティ対応は、どこまでを自社でツールと体制を整備して実施し、どこからを外部のセキュリティベンダーに任せるかが結構悩ましい。

リクルートなんかは、下手なセキュリティベンダーよりもしっかり体制組んでいるのですごいと思う。

【参考URL】
代替データストリーム(ADS)について色々調べてみた
NTFS Alternate Data Streams For Beginner

STOP! パスワード使い回し


JPCERT/CCでキャンペーンやっています。

そもそも論として今日の情報化社会で、情報は漏れるものと思って行動したほうがいいです。

パスワード使いまわしをやめようというのもその一環ですね。

ネット上の様々なサイトに同じIDとパスワードで登録していたら、どれか一つのサイトでパスワードが漏れると他のサイトも不正アクセスを受ける可能性があることは、もはや一般常識として知っておいてほしい。

FacebookやGoogleとかでシングルサインオンするのも同じリスクを抱え込むことになりますね。

んで、どーすんねんという話ですが、いくつか方法があります。

案1.定型+非定型パスワード

そのまんまで、自分の固定パスワードと、サイトやサービス等の一部のキーワードを使って作るパスワード。

「サイトやサービス等の一部のキーワード」の部分が可変になるので、結果的にサイトやサービスごとに異なるパスワードが出来上がります。

可変部分についても自分でパターン化しておけばパスワードの種類が増えてもうろたえることはなくなります。

案2.パスワード自動生成ツール+パスワード管理アプリ

これもそのまんまといえばそのまんまなのですが、パスワードはパスワード生成ツールで強固なパスワードを作り、管理はパスワード管理ツールに任せるという方法

フリーで使えるものといえば、知る人ぞ知るID Manager。パスワード生成ツールも付いたフリーのツールで自分も重宝しています。

有償モノだと、自分が使っているのはパスワードマネージャーですかね。

まずはID Manager使ってみて、物足りなければ有償ツールを検討するのがいいかも。

【参考リンク】
STOP! パスワード使い回し!キャンペーン2018
あなたのマイレージ・ポイントを盗まれないようにするべきこと

セキュリティインシデントのタレコミ(相談)先(警察関係)



最近、とあるインシデント対応でJPCERT/CCのお世話になっているのだが、その絡みで全国47都道府県警にもサイバー犯罪相談窓口が存在し、しかもそれが一覧化されたページがあることを発見。

警察ってサイバー犯罪対策を強化しているイメージはあったが、
各都道府県警察で窓口が整備されている認識はなかったので、少しびっくり。

なんとなく共有したくなったので、リンク先を記載しておく。

ネット関係のタレコミ先(相談窓口)って、IPA、JPCERT/CCを皮切りにインターネット・ホットラインセンター国民生活センター日本弁護士連合会、マスコミ、Google、フィッシング対策協議会、迷惑メール相談センター、サイバー110番、などなど、自分も悩むくらい多くあるので、使い分ける・・・というよりかは複数の窓口を並行して使うのが良いのかな?

【リンク】
都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧

メール受信不可、ブログ閉鎖、いったい何が・・・

さあ今週も一週間頑張ろうと、元気に月曜を過ごしていたのだが、昼頃私用のメールをチェックしてみると今朝から1通も来ていない。

いくら何でも1通も来ていないことはないはずなのだが・・・・

自分は最近Gsuiteに移行したばかりなので、メール転送を行っている。

転送元のメールをチェックしてみるとやはり来ているではないか!!

これはGoogleの障害か?Gmailですらこれまで障害にあったことがないのに有償サービスで障害とはけしからん。

とか、考えていたのだが、事象としてGmailにはアクセスできるが新しいメールが来ない。

うーん。スマホの不具合か?
こういう時はWindows時代から変わらぬ伝家の宝刀「再起動」

・・・やはりWindowsとは違う。再起動しても来ないものは来ない。

ということは自分何かやらかしてGoogleからペナルティ受けたのか?

念のため、ブログサイトも確認してみよう。

・・・拒否られた。

なんか過激な記事書いてブロックされたのだろうか?

次にSearch Consoleを見てみる。

最近ペナルティ食らってフィッシングサイト扱いされた事件を目の当たりにしているので、自分がそうであればSearch Consoleに何かメッセージが届いているに違いない。

・・・なーんにもメッセージがない。というか至って平常のステータス。。。

そうこうしてSearch Consoleいろいろ見ていると、Search Consoleに表示される各ドメインのページのサムネイルの異変に気が付く。

自分のドメイン、トップページは空白の画面のはずなのに何か表示されている。。。

というわけで、さっそく空白のはずの自分のドメインのURLをたたいてみる。

ででーん


「ICANNの確認待ちのドメインに到達しました」と。

要はメールアドレスが確認されないので停止されましたと。。。

さっそくメール認証してみる。

ところがメールが来ない。

あ、ドメイン停止されているからか。
うおー。自分ドツボにはまってる。。。

とりあえずGoogle管理コンソール経由でドメインの管理画面に入る。

設定を見てみると停止されたドメインではなく、別のアドレス設定していた。

早速その別のアドレスを見てみる。

あ、レジストラからメール認証の催促がたくさん届いてる・・・・

あ、あ、メール転送有効になっていない・・・

これが原因か。

結局メールは来なかったものの、てんぱっているうちに自然復旧しました。
レジストラでメール認証やってくれたのだろうか?

うーん。なんとも恥ずかしい。

そんなわけで無事復旧しました。

月曜から疲れました。。。

【参考】
恥ずかしながら、ドメインが利用できない状態に・・・