「東京五輪で4.5億回のサイバー攻撃」~武漢ウイルスで盛り上がりに欠けた分、サイバー攻撃も控えめだった模様~


「東京五輪で4.5億回のサイバー攻撃」NTTらが語る大会運営の裏側  xtech.nikkei.com/atcl/nxt/colum…

「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の期間中に、約4億5000万回ものサイバー攻撃とみられるシグナルを検知した。しかし攻撃をブロックするなどして、大会運営に支障を来すインシデントは発生しなかった」。

NTTのCISO(Chief Information Security Officer)は2021年10月21日、21年夏に開催された東京五輪・パラリンピック大会の舞台裏をこのように明かした。NTTグループは同大会のゴールドパートナーとして、サイバーセキュリティー対策を含む大会の運営に必要な通信サービスを提供した。

約4億5000万回という攻撃回数は、12年に英国で開催されたロンドン五輪における約2億回という攻撃回数バックアップ)の2倍以上に当たるものの、リオ五輪における大会中に発生したセキュリティイベントの総件数13億件よりは減少しているといえ、武漢ウイルスで盛り上がりに欠けたことが、幸いしたといえる。

また、リオオリンピックでは200Gbps以上のDDoS攻撃が観測されたり、18年に韓国で開催された平昌冬季五輪では、サイバー攻撃によって一部ネットワークが接続できなくなるなどの被害が出たが、こういったDDoS攻撃や実被害は出なかった。

※開会式当日の早朝に大規模ネットワーク障害が起きたものの、実はAkamaiの障害だったというオチはあった。

※他にもサイバー攻撃に限らない細かい問題はたくさん発生したようだが、詳細はコチラを参照

今回の東京五輪・パラリンピックで、このような大きな被害が起きなかった理由について、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会テクノロジーサービス局局長は「組織委員会の立ち上げ期から、サイバーセキュリティーの専門家が内部スタッフとしてシステムを早期導入してきた。プロアクティブな対策を早期から推進できたことも重要だった」と振り返った。

東京五輪・パラリンピックのサイバーセキュリティー対策の中心となったのは、大会前の19年3月から組織委員会が運用を開始した「セキュリティオペレーションセンター(SOC)」だ。大会期間中に最終的には128人の技術者が24時間体制で、サイバー攻撃から大会運営用ネットワークなどを防御した。128人の約7割がNTTの技術者だったという。

大会関係者への攻撃は、大会が始まる1年半前から大量に発生していた。「19年11月から20年1月にかけて、IOC会長や組織委員会・事務総長になりすました不審メールを大量に観測した。さらに21年3月から6月にかけては、関係スポーツ機関のホームページ改ざんなども観測し、注意喚起をしていた」と打ち明ける。

そして大会期間中の21年7月から8月にかけては、「世界各国から(特定のIDに対してパスワードを変えながら、不正ログインを試みる)パスワードスプレー攻撃とみられる認証エラーを大量に観測した」という。このような不正攻撃の通信を大量にブロックしたり、エンドポイントを狙った攻撃に対しては端末のクリーンアップなどの対策を施したりすることで、大きな被害を発生することなく大会期間を終えたという。