【セキュリティ事件簿#2025-323】熊は守れてもサーバーは守れず?熊森協会、アカウント乗っ取り被害

 

野生動物の保護に尽力する「日本熊森協会」が、サイバー空間では無防備だった──そんな皮肉な事件が報じられました。

偽の破産通知、そして爆破予告…?

2025年8月、同協会の公式アカウントが第三者に乗っ取られ、なんと**「破産手続きが開始された」という偽のメールが会員に送信されるという騒動が発生しました。さらに中には「爆破予告」とも受け取れる内容の脅迫的メール**も含まれていたようです。

公式Instagramアカウントでは「当会とは一切関係のない内容」として警告が出され、警察や関係機関に相談中であることが公表されました。

事の発端は「不正アクセス」

協会によると、8月11日ごろからウェブサイトの管理サーバーにアクセスできなくなったことが発覚。不正アクセスによる被害と見られ、現在も公式サイトは閲覧できない状態が続いています。

また、メール送信用のアカウントも乗っ取られており、架空の弁護士名義で「破産手続きのお知らせ」などとするメールが送られるなど、極めて悪質な手口です。

SNS上の「デマ」も拍車をかける

実は同協会は、以前からSNS上で**「クマが射殺されると本部から抗議指示がある」「抗議マニュアルが配布されている」といった虚偽情報**に悩まされており、それに対する苦情や問い合わせが殺到していた最中でした。

今回のサイバー攻撃は、そうした“炎上”の火に油を注ぐ形となり、被害の拡大が懸念されています。

クマを守るか、人を守るか…そのはざまで

背景には、全国的にクマによる人身被害が相次いでいる現状があります。2024年度からは環境省がクマを「指定管理鳥獣」に追加し、計画的な捕獲が進められていますが、駆除に対する抗議や苦情は後を絶ちません

協会のような保護団体と、駆除に踏み切る自治体の双方がSNS上で誹謗中傷を受けるなど、「情報の暴走」と「対立の激化」が深刻な社会問題になりつつあります。


🔒 教訓:守るべきは自然だけじゃない

今回の事件は、社会貢献活動であってもサイバーリスクとは無縁ではいられないという現実を浮き彫りにしました。

いかなる団体であれ、**最低限のセキュリティ対策(多要素認証、アクセス制御、ログ監視など)**はもはや必須です。熊森協会のような善意の組織こそ、悪意に対する備えが求められる時代なのかもしれません。

出典:クマ保護団体にサイバー攻撃 「破産手続き開始」と偽メールを送信 駆除巡り誹謗中傷合戦アーカイブ