
オンラインゲームに「キャプチャー・ザ・フラッグ(CTF)」というモードがあります。旗を守る側と奪う側に分かれて戦うシンプルなルールですが、実はこの仕組みはセキュリティ演習にも応用されています。
企業が自らの防御力を試すために、攻撃者を模したチームと防御側のチームが対戦し、侵入検知やインシデント対応の精度を高めていくのです。こうしたシミュレーションは、弱点の洗い出しや訓練に欠かせない取り組みになっています。
本記事では、防御側が活用できる「無料のオープンソースツール」を6つ紹介します。どれもセキュリティ担当者にとって心強い武器になるはずです。
ネットワーク解析ツール
Arkime
大規模なパケットキャプチャ(PCAP)を効率的に扱える解析ツールです。直感的なWebインターフェースから検索やエクスポートが可能で、Wiresharkなど他の解析ツールとの連携も容易。数十Gbps級のトラフィック処理にも対応しており、柔軟にスケールできるのが強みです。
Snort
オープンソースの侵入防止システム(IPS)として世界的に有名なツール。ネットワークトラフィックを監視・解析し、不審な挙動をリアルタイムで検知します。ルールセットは「無料利用」「登録ユーザー向け」「有料サブスク向け」と複数用意されており、脅威の精度に応じて使い分けられるのが特徴です。
インシデント管理ツール
TheHive
セキュリティインシデント対応を効率化するプラットフォーム。SOCやCSIRTなどの現場で利用され、MISP(マルウェア情報共有基盤)と連携することで、調査・分析から対応までをスムーズに進められます。ケース管理やタスク割り当てをテンプレート化でき、チーム間のリアルタイム連携にも強いのが魅力です。
GRR Rapid Response
リモートでのフォレンジック調査を可能にするフレームワーク。クライアントを導入した端末から、ファイルシステムやメモリ、レジストリなどの証拠データを収集できます。大規模環境にも対応しており、広範囲なITインフラを持つ企業に適しています。
OS解析・脅威ハンティングツール
HELK
「Hunting ELK」の名の通り、Elasticsearch・Logstash・Kibana(ELKスタック)をベースにしたセキュリティ分析基盤です。ログ分析に加えて脅威ハンティングやインシデント対応を一元的に行えるのが強み。研究用途から大規模環境まで、柔軟に展開可能です。
Volatility
システムの揮発性メモリ(RAM)からデジタル証拠を抽出するフレームワーク。メモリダンプを解析することで、不正プロセスやマルウェアの痕跡を追跡できます。Windows、Linux、macOSなど幅広いOSに対応し、仮想環境のメモリ解析にも利用可能です。
まとめ
今回紹介した6つのオープンソースツールは、企業がサイバー攻撃に備えるうえで強力な武器となります。攻撃を想定した演習や日常のセキュリティ監視に組み込むことで、組織全体の防御力を大きく引き上げることができるでしょう。
また、こうした演習は単なる訓練にとどまらず、セキュリティ人材のスキル強化やコンプライアンス対応にも直結します。コストをかけずに導入できるオープンソースの利点を活かし、ぜひ自社の防御戦略に取り入れてみてください。