台湾のスターラックス航空は、武漢ウイルス流行の直前に設立された急成長中の航空会社で す。現在、A321neo、A330-900neo、A350-900を保有しており、米国へは、ロサンゼルス(LAX)、サンフランシスコ(SFO)、シアトル(SEA)に就航しており、さらに路線を増やす計画もあります。
スターラックスが直面している課題のひとつは、提携航空会社が少なく、自社路線網以外への進出が制限されていることです。提携はアラスカ航空のみに留まっています。
スターラックスのCEOはワンワールド・アライアンスへの加盟を申請すると発表しました。スケジュールが発表され、詳細が明らかになりましたが、アライアンスへの加盟は不透明感が漂います。
スターラックスがワンワールド・アライアンスに加盟する理由
スターラックスのCEOであるChai Chien-hua氏は、2025年末までにワンワールド・アライアンスに加盟する計画を改めて発表しました。
台湾の航空会社であるチャイナエアラインはスカイチームに所属し、同エバー航空はスターアライアンスに所属しており、台湾の競争状況を考えると、ワンワールド・アライアンスはスターラックスにとって当然の結果でしよう。スカイチームもスターアライアンスも台湾の航空会社を2社抱えることはあり得ないので、台湾の第3のフルサービス航空会社が第3のアライアンスに加盟するのは理にかなっています。
ワンワールド加盟への壁
アライアンスは加盟航空会社の手数料で儲けているため、一般的にアライアンスへの加盟を希望する航空会社が出てくることは喜ばしいことです。
しかし、スターラックスの場合一つ問題があります。
ワンワールド・アライアンスは、アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、キャセイパシフィック航空、カンタス航空の4社が創設したアライアンスで、創設メンバーには新規加盟航空会社に対する拒否権が与えられています。
つまり、新規航空会社の加盟がアライアンス全体にとって最善の利益だとしても、創設メンバーが気に入らなければ(新規加盟が利益相反を引き起こす可能性があると判断すれば)加盟を拒否することができてしまうのです。
今回の場合、キャセイパシフィック航空が拒否権を発動する可能性があるとみられています。
台湾と香港は地理的に非常に近く、両社は多くの市場で競合する可能性があります。
アメリカン航空が中国南方航空に出資し、中国南方航空はスカイチームから離脱しましたが、ワンワールド加盟に至っていないという事実もあります。
設立航空会社が持つアライアンスの拒否権は、アライアンスの成長を阻む最大の要因になるでしょう(国連常任理事国のロシアがウクライナに侵略戦争を行った結果、国連が機能不全に陥っているのと同じ構図です)。
もしかしたら、スターラックスは何かしらの妥協案が生まれるかもしれません。武漢ウイルスの後、多くの航空会社の提携は、数年前とは少し違った様相を呈しているかもしれません。
スターラックスのアライアンス加盟が不可能だとしても、スターラックスはより多くの相互協定の締結を目にする機会も増えるかもしれません。
ちなみにワンワールド・アライアンスは、フィジー航空とオマーン航空の加盟を控えており、アライアンスとしての成長は続いています。