不動産投資で失敗しないための勉強の仕方。役に立った書籍や勉強会。
不動産投資での失敗は文字通り、命取りになります。そこで大切になるのが勉強です。私が大家さんの色々な集まりのお仲間に入れて頂くようになって、15年程度が過ぎました。今も機会があれば、色々な会合へ参加して勉強させてもらっています。
そこでお会いする方の中には、複数の投資区分分譲マンションを多額の融資で購入し、毎月持ち出しになっているという方もいらっしゃいます。投資される前に、こういった会で先輩大家さんのアドバイスを受けていれば…と痛感致します。
そこでふと思い浮かんだのが、私が青春時代に愛読した作家の一人、中島敦です。
格調高い漢文調の洗練した文体の「 山月記 」は、唐代、孤高の秀才、隴西の「 李徴 」が虎になってしまう。という清朝の説話集『 唐人説薈 』中の「 人虎伝 」( 李景亮の作 )が素材になっているといわれ、ドイツの文豪カフカの「 変身 」にも似たフィクション物語です。
李徴が虎になってしまった原因は、自身の臆病な自尊心、尊大な羞恥心故に、周囲と交わらず切磋琢磨しなかった怠惰だと気付き、虎の姿で偶然再会した旧友に之を語る。という、芸術家の運命の悲哀や狂気を告白的に描いているストーリーです。
李徴ならずとも、心当たりのある方は多いように思います。株式投資なら一人、孤高のデータ分析で勝てるかもしれませんが、不動産投資はどんな優秀な人でも周囲とのネットワークなしに成功はあり得ません。
マネーの「 虎 」と化し、一人孤独に多額の負債を背負い、「 人 」を辞めないまでも法人破産して事業主をやめることになってしまう…。そうならないよう、ぜひ、大家さん仲間を作り、勉強の機会を増やしていきましょう!
初期の頃の私の勉強の仕方
私の不動産投資の師匠は沢孝史氏です。2004年に筑摩書房さんから「 お宝不動産で金持ちになる 」を出版され、ご自身も大家仲間の相互交流を目指して「 お宝不動産セミナー 」を主催されました。( 今は開催されていません )
私も縁あって、ボランティア( 無理やりおしかけて弟子入り? )でセミナーをお手伝いさせていただきました。そのおかげで今の自分があると本当に感謝しています。
このセミナーの根底は「 主催者=講師=不動産投資家、同じ立ち位置で勉強&実践する 」ことでした。この「 同じ立場 」で切磋琢磨しあうことが非常に大切だと感じています。
それまで、マンション業者さんの販売セミナーや、ハウスメーカーさんの地主さん向けセミナー等はありました。しかし、「 大家仲間相互供与のセミナー 」はなかったように思います。
例えばその集まりでは、戸建大家の方が講師の会では、地中を含めたセルフリフォームの話を伺い、その難易度は兼業大家には容易でないと感じました。部分的ですが、区分物件に生かせる方法を実践するヒントも頂けました。
元不動産賃貸仲介会社店長の方が講師だった時は、区分零細兼業大家の非力さを思い知らされました。弱者なりに、自主管理の賃貸付けのヒントをキャッチすることで、どうすれば客付業者さんの心を掴めるのかを考え、トライするきっかけとなりました。
RC一棟物に投資されている方が講師だった時は、管理組合での建物管理や設備保守の維持費について、スケール感を掴めました。
また、融資と物件購入のタイミング&巨額の資金ハンドリング等を整合させる難しさを知りました。同時に、キャッシュの強さと現金買いのフットワークの軽快性を再認識できました。
自主企画の木造狭小新築アパートを運営されている講師のお話も面白かったです。そのようなアパートは好立地の駅近区分マンションの強力なライバルとなります。自分の物件に何を取り込んでいったら競合生存できるのか?を研究するきっかけになりました。
2次会の席で、銀行員の参加者の方に、区分物件の担保価値の弱さについて、プロの目で語っていただき、戦略を立てる上で役立ったこともあります。他の投資手法を実践する方の話をフィードバックすることで、自分の区分物件運営に活用できたわけです。
物件を買う前に不動産投資家同士の集まりに参加しよう
私は26年間大家を続けています。区分物件での零細個人大家業のままですが、当時、「 お宝不動産セミナー 」へ参加されていた方々は、それぞれに成功した不動産ビジネスモデルを確立され、各分野でご活躍中です。( 俗に言う、キラキラ大家や、共食い大家ではなく… )
大家業はもちろん、メディアを通じての情報発信、インターネットでの投資不動産販売、不動産情報サイトの運営、教材販売、良心的コンサルタントなどなど。中には東証1部上場を果たし方もいらっしゃいます。
その時代の権威や格式に縛られず、変革期に有志が集まり、多くの人材を生んだ、緒方洪庵の「 適塾 」や吉田松陰の「 松下( しょうか )村塾( そんじゅく ) 」のようです。
沢孝史氏の「 塾 」に集った逸材が、互いに切磋琢磨して、世襲地主さんだけの世界だった大家業にパラダイムシフトを興したともいえます。
現在も各地で「 不動産投資家同士の集まり 」があります。同じ仲間同士で対等な立場で知識や経験などの情報を交換しあい、切磋琢磨しあえる関係を入門者の方は是非、作っていただくことをお勧めします。
業者の話だけしか聞かずに物件を買い進め、失敗する人が後を絶ちません。投資する前に、大家さんが書いた本を何冊か読んで、体系的な知識を身に着け、その後、大家さんの会で筆者ご本人や、同じ大家仲間から本音でリアルな情報を聞くことで失敗を防げます。
本を読む時の注意点
学習には読書も有効です。その時、どんな立場の筆者が何の目的で出版したのかを見極めて読むことが極めて重要です。大家さんが執筆した本ならいいというわけではありません。
販売数を伸ばす為、出版社さんからは独自性( 武勇伝とまでは言わずとも )を打ち出すようリクエストが入ります。しかし、属性も違えば時代背景も違う中で、著者の方がうまくいった手法がこの先、再現できるとは限りません。
とはいえ、やはり書籍には著者の知識を体系だって学べるというメリットがあります。大家さんの会などでは、苦労・失敗談等の本音のお話を聞けますが、短時間の会話では、断片的な切れ切れの情報に留まってしまいます。
大家さんの情報を得るためには、ネット上のホームページ、ブログ、SNS等から繋いで行っても良いでしょう。ただし、ネットだけですとタイムリーに自由発言される反面、情報は玉石混合ですので、リスクに注意しましょう。
これらで知識武装したうえで、実際の投資をスタートさせると、最初の一歩での失敗を防げると思います。
筆者も現在、星野陽子さんが運営されている「 マネサロ 」、古くからある「 大家さん学びの会 」などに参加しています。もちろん、特定のグループに入会せずとも、大家仲間で情報交換しながら一緒に歩んでみる方法もあります。
最初から一つのやり方に絞らず、広い投資手法を学ぼう
大切なのは、中古区分物件投資へ入門する場合でも、ぜひ、戸建、木造アパート、RC、自主企画新築など、色々な先輩大家さんから生のお話を伺うということです。場合によっては、株式投資家やもっと広い事業投資家の情報も有益な場合があります。
はじめる前から一つのやり方に固執するのではなく、幅広く情報を集めることが大切です。これらの情報群から色々な得失を自分の立場で理解し、その結果、自身に合った手法が見えてきます。そこから、少しずつ実践していけば良いと思います。
10を知って1を成すより、100を知って1を成す方が成功率は上がります。こうして第一歩を踏み出せば、そこから自然に今度はプロの業者さんとの関係が生まれて発展し、運営チームが、きっと創られてゆくことでしょう。