【転載】AWS×コンテナで基本的なDevSecOpsアーキテクチャをデザインしたお話 - How elegant the tech world is...!

AWS×コンテナで基本的なDevSecOpsアーキテクチャをデザインしたお話 - How elegant the tech world is...!:

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先日、僕が担当する業務でECS/Fargate利用を前提にDevSecOpsアーキテクチャをデザインし、社内のAWS勉強会にて登壇する機会をいただきました。
本ブログでも内容をかいつまんでご紹介できればと思います。

AWSによらず、コンテナを利用されている方にとって、一つのプラクティス例としてご参考になれば幸いです。
※コンテナ自体の説明や必要性に関する内容は省略していますm(_ _)m

そもそもDevOpsとは?

DevSecOpsの導入意義をお伝えするた前に、まず軽くDevOpsの意義をお伝えします。

※とは言え、この記事をご訪問されている方にとっては「何をいまさら...」な内容かもしれませんし、ググればDevOps自体の情報はたくさん見つかりますので、重要なポイントのみ述べることにします。

DevOpsとは、一言で述べれば、開発チームと運用チームが協力してビジネス価値を高める活動概念です。

昨今、ITはビジネス効率化の手段だけではなく、ビジネス差別化の手段の一つとなっています。
スマホネイティブなサービスが普及し、利用者に新しいユーザー体験がに届けられることができるようになりました。併せて、サービスに対する利用者からのフィードバックも受け取りやすくなっており、多数の競合サービスに引けを取らないように、サービス提供者が改善やニーズ取り込みを素早く行い、価値を提供し続けることが重要になってきています。

このような活動を継続するためには、MVP(Mimimum Viable Product)のように利用者にとって本当に価値のあるものを小さく早く届けることが重要です。

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ここで、ユーザーフィードバックをモニタリングする責務はサービス運用チームが担うことが多いかと思います。
また、ニーズを受け、新たな機能追加などは開発チームが行います。
継続的にサービス価値を高めるためには、以下のように運用と開発のフェーズを順番に踏んでいるわけですね。

DevOps_feedback-diagram.ff668bfc299abada

AWSが提供するページより図を引用(DevOps とは? - DevOps と AWS | AWS)

つまり、変化に対して柔軟かつ品質の良いサービスを提供し続けるには、開発と運用がうまく協調する必要があります。
かつ、このサイクルをいかに早く回していけるか、が重要となります。

うまく協調するためには縦割りな組織構造よりはサービス・ソリューションに最適な組織作りアジャイル開発やCI/CDといったラクティス、「Git」「Docker」「AWS Codeシリーズ」等のツールなど、これら要素組み合わせることで達成を目指していきます。
DevOpsはこれらの取り組みの総称としても表現できます。

ちなみに、CI/CD視点からの切り口になってしまいますが、AWSでは年間190 million(1.9億回)もアプリケーションがデプロイ可能な環境が整っているそうです。

www.youtube.com

また、以下はAWSの最新情報から集計した2018年12月〜2020年5月のAWS月別リリース数ですが、2020年に関しては平均116件/月ものリリースがなされています。

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まさにDevOpsを体現しているからこそ成し遂げている結果ですね。

なぜDevSecOpsが求められるのか?

DevSecOpsとは、一言で述べるとDevOpsの取り組みにセキュリティを協調させたものです。

DevOps実践のもとで高速でサービスを追加していくと、それに応じてセキュリティ観点で脆弱な作り込みリスクも増えることになります。
また、後続の工程でセキュリティテストを実施して問題が健在化すると当然手戻りが発生します。
設計や構築などより早いタイミングで問題を検出できることが、結果的に安定なサービス提供につながるでしょう(より早い工程段階でセキュリティ対策を施すことを「シフトレフト」と呼んだりします)。

一度セキュリティインシデントが発生すると、ユーザーからの信頼が失墜し、ビジネスの根幹を揺るがすことが多いのが実情です。

もちろん、扱う情報や業界規制等によって取るべきセキュリティ対策のレベルを見直すことも重要です(個人情報を保有する or しない、クレジットカード情報や金融系取引情報を扱う or 扱わない、などで守り方の温度感も変わってきます)。
すべてのサービス層で重厚なセキュリティ対策を施すと対応に必要な工数が増えたり、運用の手間が増えてしまうため、スコープの見極めは大切です。

とは言え、メンバー全員で責務を持つことでセキュリティ意識を底上げさせ、自動化として組み込むことができれば、その手間をなるべく減らしつつ、リスクを下げることもできそうですね。
DevOpsにセキュリティ系のツールをうまく組み込み、メンバー全員で開発ライフサイクルのセキュリティに責任を持つという視点を醸成することがDevSecOpsの意義の一つなのだと考えています。

次に、プラクティスの一つであるCI/CDに対して、どのようなセキュリティツールを活用するとDevSecOpsの土台が実現できるか、という点に着目していきます。

コンテナに求められるセキュリティ対策要件

ここでは、コンテナアプリケーションで必要なセキュリティ対策について考えてみます。

結局のところ、アプリケーションに脆弱性を作り込まないように対処する点は従来のアプリケーション開発となんら変わりありません。
コンテナはベースイメージOS上にアプリケーションと必要な依存パッケージ等を一つのイメージとして閉じ込めています。つまり、ベースイメージOS自体やパッケージに対する脆弱性対応について考慮する必要があります。
また、Dockerfile等によるコンテナイメージ作成プロセスが適切に行われているかどうか、という点についても考慮する必要があります(動作に対して不要なパッケージが混入している、本来は不要であるrootユーザーでプロセス実行がされている、等)。

基本的な対策としては、まず以下の検討ポイントを挙げました。

  • イメージ作成プロセスの妥当性
  • イメージ内OS・アプリケーションの脆弱性チェック
DevSecOps実践を目指す中で、CI/CDにこれらのセキュリティ対策をどのように行っていくか、がポイントの一つになります。

※実際には、コンテナイメージ自体の保護に加えて、レジストリやCI/CDパイプライン、コンテナオーケストレーションツール等の保護なども考慮する必要があります。
また、開発ライフサイクル全体でセキュリティに必要な対応を俯瞰すると、SAST(Static Application Security Testing)、DAST(Dynamic Application Security Tesing)、IAST(Interactive Application Security Testing)など
全体の位置付けを考慮する必要がありますが、話が膨らむ上に今回のトピックから焦点がぶれてしまうので、敢えてコンテナCI/CDに組み込むセキュリティ対策という観点でお話しています。

キーファクターとなるOSS

要件に合うセキュリティ対策を実装するべく、今回はOSSを中心に以下ツールを選定しました(コスト都合かつスモールに始めたかったので、セキュリティベンダーが提供する商用ツールは一旦見送りにしました)。

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ここから、順番に各ツールの特徴を見ていきます。

hadolint

コンテナイメージ作成はDockerfileの記述内容に従って実行されますが、hadolintはDockerfileを静的解析することでベストプラクティスに従った流れかどうかチェックしてくれるツールです。

github.com

プログラミング言語Haskell」で開発されたDockerfileのLinterなので、hadolintと命名されているようです。

ちなみに、hadolintはShellCheck)と呼ばれるシェルスクリプトの静的解析をベースにしてチェックもしてくれます。
実際のところ、Dockerfile内はシェルスクリプトの内容を含むケースがが多く、ShellCheckベースの検証で安全ではない記述方法の検出は大変助かります。

例えば、次の様なDockerfileにてチェックを掛けると、hadolintがいくつかのダメ出しで知らせてくれます。

FROM debian RUN node_version = "0.10" \ && apt-get update && apt-get -y install nodejs="$node_version"
COPY package.json usr/src//app
RUN cd /usr/src/app \ && npm install node-static EXPOSE 80000
CMD ["npm", "start"]
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上記例はhadolint側でのチェック内容を表示するために、敢えてhadolint REDOME内の内容記載をそのまま転記しているため、実際にはここまでひどく(?)指摘されることは無いと思います(たぶん)。

CI/CD内でイメージ作成の前処理として上手に組み込むことで、イメージ作成プロセスを安全に維持できそうですね。

trivy

trivyはAquaSecurity社が提供するコンテナ脆弱性スキャナーです。

github.com

日本人の福田鉄平さんが開発し、その後はAqua社側にてメンテナンス及び提供されています。
その他の脆弱性スキャナーツールと比較して軽量かつ高機能であり、インストールもスキャン方法も非常に簡単で使いやすいのが特徴です。
参考情報として、下記は英国政府の技術ブログですが、ここでもtrivyが活用されていました。

technology.blog.gov.uk

次のようにイメージを引数として実行することで、該当する脆弱性をCVE番号とともに出力してくれます。

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出力結果には重大度レベル(SEVERITY)も併せて表示されます。
LOW < MEDIUM < HIGH < CRITICALの順列で影響が大きくなるので、これらの結果を基に優先的に対応すべき脆弱性対象を確認することができます。

さて、イメージの脆弱性スキャン機能ですが、AWSのマネージドなコンテナレジストリであるECRでも提供しています。
なぜtrivyを採用したかというと、アプリケーションの依存パッケージまで踏み込んでスキャンしてくれるかどうかという点で優位性があるからです。
ECRのイメージスキャンはClairというOSSをベースに作成されています。
ClairはコンテナのOSパッケージレベルをスキャン対象としており、trivyと比較してスコープが異なります。

また、スキャン可能なベースイメージも異なります。具体的に、ClairはBusyboxやAlpineの最新バージョンなどのスキャンには対応していません

※参考:Docker Image Security: Static Analysis Tool Comparison - Anchore Engine vs Clair vs Trivy - a10o.net - Alfredo Pardo


加えて、Alpine Linuxの例で述べれば、Clairとtrivyは脆弱性情報の収集先情報源が異なることから、検出対象精度の数に2倍弱の違いがあるようです(詳細はGithubのtrivy REDOME.mdをご覧ください)。

Clair uses alpine-secdb. However, the purpose of this database is to make it possible to know what packages has backported fixes. As README says, it is not a complete database of all security issues in Alpine. Trivy collects vulnerability information in Alpine Linux from Alpine Linux aports repository. Then, those vulnerabilities will be saved on vuln-list.
alpine-secdb has 6959 vulnerabilities (as of 2019/05/12). vuln-list has 11101 vulnerabilities related to Alpine Linux (as of 2019/05/12). There is a difference in detection accuracy because the number of vulnerabilities is nearly doubled.
以上の理由より、導入と利用が簡単かつ高精度なtrivyを採用することにしました。

Dockle

Dockleは天地知也さんが開発したコンテナイメージに含まれるセキュリティホールをチェックしてくれるツールです。
hadolintとは異なり、Dockerfileではなくイメージに対するスキャンであり、ベースOSイメージ側の設定内容に関しても踏み込んでスキャンしてくれる点が特徴です。
また、CIS(Center for Internet Security)と呼ばれる国際的なインターネットセキュリティ標準化に取り組む団体が提供しているベンチマークに対する遵守状況もチェックしてくれます。

Trivy同様、インストール及び実行が簡単で以下のように検出可能です。

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hadolintやTrivyとは異なる観点でのチェックを行ってくれるため、こちらも利用する方針としました。

CI/CDアーキテクチャへの落とし込み

ここまでにご紹介したDevSecOpsツールをCI/CDに組み込んでいくのですが、まずはベースとなるECS/FargateのCI/CDアーキテクチャを考えてみます。

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開発環境のCI/CD構成をシンプルに表現したものです。

処理の流れとしては、次の通り。

  1. 開発者がCodeCommit上にソースコードをプッシュすると、CodePipelineが起動
  2. CodeBuildにて以下の順番でビルドを実施が実施
    • アプリケーションのビルド&テスト
    • Dockerイメージのビルド
    • ECRへのDockerイメージプッシュ
  3. ビルド処理が完了するとCodeDeployに遷移
  4. CodeDeployにより、ECS/Fargate上にビルドしたコンテナイメージが展開
今回はファーストステップとしてシンプルにデザインと導入を進めたかったので、ビルドフェーズ内(CodeBuildの動作仕様を定義するbuildspec.yml内)に各処理を定義してスキャンする方針としました。

ここで、コンテナイメージビルド処理より前にhadolintによりDockerfileのチェック自体は先行で実施しておくのが望ましそうです。
イメージビルド後、影響度の大きい脆弱性が見つかったらより早い段階で検知すべきという考え方から、trivyイメージスキャンを優先しています。最後にDockleでCISベンチマークに従っているかをチェックする流れとしました。

ビルドフェーズ内の処理を図で表現すると次のようになりました。

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なお、開発環境ではアプリケーションの機能動作確認を優先的に行うべきであり、CRITICALな対象ではない限り、このタイミングでビルド処理を止めたくないというニーズがありました(LOWレベルの検出でアプリケーション開発が止まってしまうと、逆にアジリティを下げる原因にもなってしまう可能性があったからです)。

また、trivyで脆弱性が検出された場合、対象や対応状況を管理しておきたいと考え、セキュリティイベントの統合マネージドサービスであるSecurity Hubに集約することで実現しています。
各種ツールはJSON形式で結果を出力できるため、buildspec.yml内にてSecurity HubのASFFと呼ばれる標準的な検出結果形式に各脆弱性情報を整形し、SDKからSecurityHubにインポートすることで集約管理することができます。

また、マルチアカウント構成を考慮し、AWSアカウント毎に個別にセキュリティ情報を管理・モニタリングするのではなく、アカウント間で情報を集約できようにセキュリティ管理専用のAWSアカウントを作成し、メンバーシップ設定を実施をすることで統合しています。

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ここで、少しだけbuildspec.ymlの記載例に踏み込んで見たいと思います。
各buildspec内フェーズ毎の動作をコメントと併せて記載してみました。

version: 0.2 env: variables: : phases: install: runtime-versions: docker: 18 : pre_build: commands: - docker pull hadolint/hadolint - docker run --rm -i hadolint/hadolint hadolint - < Dockerfile - TRIVY_VERSION=$(curl -sS https://api.github.com/repos/aquasecurity/trivy/releases/latest | jq -r .name | sed -e 's/v//g') - rpm -ivh https://github.com/aquasecurity/trivy/releases/download/v${TRIVY_VERSION}/trivy_${TRIVY_VERSION}_Linux-64bit.rpm - DOCKLE_VERSION=$(curl --silent "https://api.github.com/repos/goodwithtech/dockle/releases/latest" | \ grep '"tag_name":' | \ sed -E 's/.*"v([^"]+)".*/\1/' \ ) && rpm -ivh https://github.com/goodwithtech/dockle/releases/download/v${DOCKLE_VERSION}/dockle_${DOCKLE_VERSION}_Linux-64bit.rpm : build: commands: - docker build -t ${APP_NAME}:${IMAGE_TAG} . - docker tag ${APP_NAME}:latest ${PUSH_ECR_REPO_URI}:${IMAGE_TAG} : post_build: commands: - trivy --no-progress -f json -o trivy_results.json --exit-code 0 ${PUSH_ECR_REPO_URI}:${IMAGE_TAG} - (Security Hubへ結果をインポートするスクリプトを実施(trivy_results.jsonがインポート対象)) - trivy --no-progress --exit-code 1 --severity CRITICAL ${PUSH_ECR_REPO_URI}:${IMAGE_TAG} - exit `echo $?` - dockle --format json --exit-code 1 --exit-level "FATAL" ${PUSH_ECR_REPO_URI}:${IMAGE_TAG} - exit `echo $?` - $(aws ecr get-login --region ${AWS_REGION} --registry-ids ${AWS_ACCOUNT_ID} --no-include-email) - docker push ${PUSH_ECR_REPO_URI}:${IMAGE_TAG} : artifacts: files:
    :
今回は手始めにtrivyの出力結果をSecurity Hubに登録する流れを実装しています。

上記のbuildspec.ymlでは、trivyによるイメージスキャンを2回実行しています。
この理由として、SEVELITYによらず全ての脆弱性情報をSecurity Hubに登録するため、一時的に結果をすべて出力する目的で1回目を実行しています。
SecurityHubへの登録完了後、CRITICALな対象があればビルドを中止して修正を優先すべきという方針としているため、CRITICALレベルに絞って再度実行することでリターンコードを取得しています(1回目のtrivy実行時に内部で脆弱性情報がキャッシュされているため、2回目のスキャン自体は高速です)。

実際にビルド中に脆弱性が見つかると、次のようにSecurity Hub側に自動登録されます。

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シンプルですが、これで脆弱性情報の管理・モニタリングまで含めたフローが完成しました。

プロダクション稼働を考慮した際の課題点

ここまででDevSecOpsを実践するアーキテクチャの一例をご紹介しました。
ただ、本番運用で利用しようとすると、まだ色々と至らない点が存在します。
ここでは、その課題点について少し向き合って見ようと思います。

アプリケーション毎に同一チェック処理を定義する必要がある

hadolintやTrivy、Dockleによるスキャンはアプリケーション毎にその流れはほぼ同じになることが見込まれます。
しかし、現状ではアプリケーション毎に別々のbuildspec.yamlに定義する作りとなっています。
これではアプリケーションの数が増えてくると定義が重複し、管理コストが増してしまいます。
状況によっては個別のCI内処理に組み込むより、共通化して切り出すほうが望ましい形になります。
この点について、先日クックパッドさんの開発者ブログにて、まさにこの問題に対処した素晴らしい内容が公開されました。

techlife.cookpad.com

LambdaやSQS活用し、非同期かつ疎結合に処理するようにアーキテクチャが設計されています。
規模拡大に伴い、このような形が望まれてくると思いますので、併せてこちらもご参考にするのが良いと思います(僕自身も参考にさせていただいています)。

CI/CD実行時にのみにセキュリティチェックがされる

現状の構成ではCI/CDが実行されたタイミングでセキュリティチェックがされます。
しかし、当然の話ですが、実際に脆弱性情報はCI/CDとは別の時間軸で日々報告されています。
IPAが運営するJVN iPediaベースの情報になりますが、1ヶ月あたり1000件以上の脆弱性が報告されています。

仮に、とあるアプリケーションの更新がしばらく実行されていないケースでは、プロダクション環境で稼働中のアプリケーションに該当する脆弱性が発見されたとしても、CI/CDのみが発見の契機であり、見逃してしまうかもしれません。

アプリケーションの重要度にもよりますが、より確実に検知を目指すのであれば定期的なチェック処理を実装する必要がありそうですね。
※この観点はCI/CD組み込みというよりは、運用視点での日々のモニタリング活動側に含まれるかもしれません。

各環境毎にSEVELITYとどう向き合うか

今回、trivyに関してはSEVELITYがCRITICALな場合にビルド処理を異常終了する仕様にしました。
というのは、CRITICALな状態でのプロダクション環境デプロイはまず避けるべきですし、このレベルで検知されるとアプリケーション機能追加より対応を優先すべきと判断したからです。

この異常終了する判断のしきい値ですが、アプリケーションの内容によってはHIGHが適切かもしれません。

一方、開発環境では、ビジネス価値をもたらす機能追加の検証を優先したい場合があります。
そのような場合、ステージング環境で一度止めるという選択肢もケースによってはあるかもしれません。
ただし、ステージング環境の利用は総合テストフェーズで利用されるシーンも多く、シフトレフトな考え方と若干反するとも考えられます。

DevSecOpsに取り組むにあたって、アプリケーションの重要度、各環境毎の目的のバランスを見極めながら、ビルドを止めるのか、それとも後で対応するのか、といったことをCI/CD構築と併せて検討するという視点も重要な検討ポイントだと考えています。

ECRでは現状DCTに対応していない

少しDeep Diveな内容になりますが、Dockerには「Docker Content Trust(DCT)」というイメージ自体の完全性やイメージ提供者の検証を行う仕組みがあります。
これはDocker 1.8から実装された機能で、署名済みかつ検証済みのコンテナイメージしか利用させなくすることができます。

DCTの有効化は簡単で、docker pulldocker pushを行う際の環境にて、環境変数をセット(DOCKER_CONTENT_TRUST=1)することで有効になります(CodeBuildにおいては、buildspec.yml内で環境変数を定義すればDCTが有効になります)。
ちなみに「DCTが有効な状態でpull/pushがされるか?」というのは、Dockleのチェック対象となっています(さきほどDockleの出力例をご紹介しましたが、その中でINFOレベルで出力されている「CIS-DI-0005」が該当します)。

このDCT、内部的にNotaryと呼ばれるサーバー・クライアント側OSSが安全なイメージの作成と検証動作を担ってます。

github.com

docs.docker.com

しかし残念ながら、現時点ではECRはこのNotaryをサポートされておらず、ECRに検証済イメージをプッシュしようとするとエラーになってします。

そのため、現状ではDCTを無効化した上でDockleによるチェックの際「CIS-DI-0005」を対象から除外する必要があります。

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なお、今月開催された(AWS Cloud Containers Conference)のECRに関するセッション「Security Best Practices with Amazon ECR」内で、スピーカーのOmar Paul氏ECRのSr Product Manager)が、ECRのNotary GA目処として2021年内であることを名言しています。

github.com

ECRでのDCT利用はもう少し先になりそうですね。

その他参考情報

今回ご紹介したアーキテクチャを検討する上で参考にした情報も併せて共有しておきます。

AWSの公式ブログでもtrivyを扱った事例がいくつか紹介されていたりします。
以下はAWS Container Heroでもあり、Aqua社のVP OSSでもあるLiz Rice氏が寄稿したtrivy × CodePipelineの記事になります。

aws.amazon.com

また、以下はtrivyをSecurity Hubに取り込む際の例がサンプルコード付きで紹介されています。

aws.amazon.com

次の参考情報は、AW re:Inforce 2019 (AWS主催のセキュリティ&コンプライアンス系カンファレンス)にて実施されたコンテナ × DevSecOpsに関するワークショップの内容です。
以下のような構成をハンズオン形式で学べるので、DevSecOpsをサッと学ぶにはちょうどよいボリューム感かと思います。

diagram-basic-arch.png

※図を引用(Container DevSecOps - Integrating security into your container pipeline Overview)

さいごに

最後までお読みいただきありがとうございました。
ブログで誰かに何かを伝えようと思うと、どうも内容が盛りだくさんになってしまいがちです...
読みにくい&わかりにくい箇所があったかもしれませんが、皆さんがコンテナでDevOpsを実践する方々に少しでもコンテナ自体のセキュリティを意識するきっかけとなれば嬉しいです。

※お決まりの言葉ですが、ここでの内容はすべて筆者の私見であり、所属する組織の意見でも代表するものでもありません。また、あくまで特定の秘匿情報ではなく公開可能な情報から述べているため、その点はご留意ください。

ではでは。

Kali linuxにTorブラウザをインストールする方法

不正を告発する場合に有効なTor(トーア)とは (2019年5月29日 ...



Kali linuxにTorブラウザをインストールしたのだが、一般的に紹介されている方法では使えなかったので、メモ。

ネット上の記事を見ると、sudo apt torbrouser-launcherでインストールし、torbrouser-launcherを起動することでTorブラウザが使えることになっているのだが、自分の環境でそれをやると、下記のエラーが出てしまった。

Traceback (most recent call last):
File “/usr/lib/python3/dist-packages/torbrowser_launcher/launcher.py”, line 603, in run
self.common.refresh_keyring()
File “/usr/lib/python3/dist-packages/torbrowser_launcher/common.py”, line 199, in refresh_keyring
‘–refresh-keys’], stderr=subprocess.PIPE)
File “/usr/lib/python3.7/subprocess.py”, line 800, in init
restore_signals, start_new_session)
File “/usr/lib/python3.7/subprocess.py”, line 1551, in _execute_child
raise child_exception_type(errno_num, err_msg, err_filename)
FileNotFoundError: [Errno 2] No such file or directory: ‘/usr/bin/gpg2’: ‘/usr/bin/gpg2’
Aborted

 結果的にシンプルに解決できたので、対応をメモしてきたい。

WSL2にGUI環境を構築し、Google Chromeをインストールした前提。

1.Tor公式サイトからモジュールダウンロード

2.モジュール解凍

 ※モジュール名称を、tor-browser-linux64-9.5.1_en-US.tar.xzとする。

 tar -xvJf tor-browser-linux64-9.5.1_en-US.tar.xz

3.Torブラウザ起動

 モジュールを回答したフォルダのBrowserディレクトリに移動し、起動する。

 ./tor-browser_en-US/Browser/start-tor-browser &

結果的にシンプルな3ステップに収まったのだが、この結論にたどり着くまでにかなりの時間を要した。

【参考】
https://www.howtogeek.com/423866/how-to-install-and-use-the-tor-browser-on-linux/

【転載】警備員が警備中に窃盗して逮捕される

逮捕のアルソック警備員、マスターキーで弁護士事務所侵入か(2020年8 ...

【独自】ALSOK警備員を逮捕、警備中「金盗んだ」|TBS NEWS:

 警備会社ALSOK東京の社員が警備中に弁護士事務所を物色したとして警視庁に逮捕されていたことが分かりました。事務所から200万円を盗んだと見られています。

 逮捕されたのは警備会社ALSOK東京の社員、梅山了太容疑者(26)で、東京・千代田区のビルを巡回警備中に弁護士事務所を物色した疑いが持たれています。弁護士の机の中からは現金200万円が無くなっていて、梅山容疑者は「金を盗んだ」と話しているということです。

 金が無くなった後、弁護士が事務所にカメラを設置し机を物色する制服姿の梅山容疑者の姿が写っていたことから逮捕に至りました。

 ALSOK東京はJNNの取材に対し、「社員が逮捕され深くお詫びします。再発防止に努めます」とコメントしています。

Kali Linuxにgoogle chromeをインストールする方法

Kali Linuxにgoogle chromeをインストールする方法



WSL2を使ってKali Linuxをインストールし、GUIで使えるようになったのだが、WSL2のKali Linuxにはブラウザが入っていない。

そこで、google chromeのインストールを行ったのだが、説明が完結しているサイトが無かったので、メモがてらまとめておく。

1.Chrome .debパッケージダウンロード

まずは、Chrome .debパッケージをダウンロードしてくる。

入手方法は下記参照。

https://mebee.info/2020/03/28/post-7904/

尚、上記サイトにはインストールの手順が書いてあるが、拙者の環境ではコけた。

2.gdebiコマンドのインストール

aptコマンドでのインストールがこけてしまったので、依存関係も解決しながらインストール出来るgdebiコマンドのインストールを行う。

 sudo apt install gdebi

3.Chromeのインストール

gdebiコマンドを使ってChromeのインストールを行う

 sudo gdebi ~/Downloads/google-chrome*.deb

下記のサイトが参考になった。

https://tutorialforlinux.com/2020/02/06/step-by-step-google-chrome-kali-linux-2020-installation-guide/2/

【転載】OMMC姉貴ってなんだ!?

 バカッターって昔からいるが、最近もパラパラ出ているんだな。

昔は自分で投稿⇒拡散⇒炎上

って感じだったが、

最近は、友達にだけ共有⇒友達が拡散⇒炎上

てケースが多いのかな。

それにしても、マンガ動画から簡単に元ネタにたどり着けた。。。

↓↓マンガ動画↓↓


↓↓元ネタ動画↓↓

【転載】Sポイントメンバーサイトにおける不正アクセスと被害について

[PDF] Sポイントメンバーサイトにおける不正アクセスと被害について エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社 阪急阪神ホールディングス株式会社 株式会社阪急阪神ポイント 2020年8月11日 h2o-retailing.co.jp/ja/news/news-4…:







[PDF] Sポイントメンバーサイトにおける不正アクセスと被害について

エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社

阪急阪神ホールディングス株式会社

株式会社阪急阪神ポイント

2020年8月11日

h2o-retailing.co.jp/ja/news/news-4…




バックアップ

【転載】米ユタ大学がランサムウェアに感染し、457,000USDを払う

ユタ大学はランサムウェアに見舞われ、$457Kの身代金を支払う:

University of Utah

ユタ大学は、ランサムウェア攻撃中に盗まれたファイルを脅威アクターがリリースするのを防ぐために、457,000ドルのランサムウェアを支払いました。

本日投稿された「データセキュリティインシデント」通知の中で、ユタ大学は2020年7月19日(日曜日)にランサムウェアによって攻撃されたことを明らかにしました。

「2020年7月19日(日)、大学の社会行動科学部(CSBS)は、CSBSコンピューティングサーバーに対するランサムウェア攻撃について、大学の情報セキュリティオフィス(ISO)から通知を受けました。「侵害されたCSBSサーバー上のコンテンツは、未知のエンティティによって暗号化され、もはや大学によってアクセスできませんでした」と、ユタ大学が明らかにしました。

この攻撃は、大学の社会行動科学大学(CSBS)部門のサーバーを暗号化しました。攻撃の一環として、脅威アクターはコンピュータを暗号化する前に暗号化されていないデータを盗みました。

2019年末以来、ランサムウェア事業者はランサムウェアを展開する前に暗号化されていないファイルを盗み始めました。

盗まれたデータには学生と従業員の情報が含まれていたため、大学はそれを防ぐために身代金を支払うことにしました。

「慎重に検討した結果、大学は、そのサイバー保険会社と協力して、ランサムウェアの攻撃者に手数料を支払うことにしました。これは、情報がインターネット上で公開されないようにするための予防的かつ予防的なステップとして行われました」と、データセキュリティインシデント通知に記載されています。

大学は、彼らのサイバー保険契約が$457,059.24 USDの身代金を支払い、「授業料、助成金、寄付、州または納税者の資金が身代金を支払うために使用されなかった」と述べています。

ランサムウェア攻撃だけでなく、データ漏洩も

ランサムウェア事業者は通常、掘り出し物の側を維持し、身代金が支払われていた場合、これらの攻撃中に盗まれた情報を開示しません。

しかし、これはデータ侵害であり、影響を受ける人々はデータ、信用履歴、その他のアカウントを保護するためにそれに応じて行動する必要があります。

脅威アクターが盗まれたデータを自分の目的のために使用しないと言うことは何もありません。

このため、社会行動科学大学(CSBS)のすべての学生と従業員が、不正な行為に対する信用履歴を注意深く監視し、オンラインで使用するパスワードを変更することを強くお勧めします。

ユタ大学は最近、身代金の支払いだけではありません.

2020年6月、UCサンフランシスコは復号者を受け取り、ファイルを回復するために114万ドルの身代金支払いを支払いました。



ーー以下原文ーー



The University of Utah has paid a $457,000 ransomware to prevent threat actors from releasing files stolen during a ransomware attack.
In a 'data security incident' notification posted today, the University of Utah disclosed that they were attacked by ransomware on Sunday, July 19, 2020.
"On Sunday, July 19, 2020, the university’s College of Social and Behavioral Science (CSBS) was notified by the university’s Information Security Office (ISO) of a ransomware attack on CSBS computing servers. Content on the compromised CSBS servers was encrypted by an unknown entity and no longer accessible by the college," the University of Utah disclosed.
The attack encrypted the servers in the university's College of Social and Behavioral Science (CSBS) department. As part of the attack, the threat actors stole unencrypted data before encrypting computers.
Since the end of 2019, ransomware operators have started stealing unencrypted files before deploying their ransomware. The ransomware gang then threatens the victims by saying they will publicly leak the stolen files if a ransom is not paid.
As the stolen data contained student and employee information, the university decided to pay the ransom to prevent it from being leaked.
"After careful consideration, the university decided to work with its cyber insurance provider to pay a fee to the ransomware attacker. This was done as a proactive and preventive step to ensure information was not released on the internet," stated in their data security incident notification.
The university states that their cyber insurance policy paid a ransom of $457,059.24 USD and that no "tuition, grant, donation, state or taxpayer funds were used to pay the ransom."

Not only a ransomware attack but also a data breach

Ransomware operators typically keep their side of the bargain and do not disclose the information stolen during these attacks if a ransom had been paid.
With that said, this is a data breach, and those affected must act accordingly to protect their data, credit history, and other accounts.
There is nothing to say that the threat actors will not use the stolen data for their own purposes, such as identity theft and phishing attacks against students and employees.
Due to this, it is strongly suggested that all students and employees in the College of Social and Behavioral Science (CSBS) carefully monitor their credit history for fraudulent activity and change any passwords that they utilize online.
The University of Utah is not alone in recently paying ransom payments.
In June 2020, UC San Francisco paid a $1.14 million ransom payment to receive a decryptor and recover their files.

【転載】テレワークの実践方法やツールをまとめたガイドブック公開(google)

テレワークの実践方法やツールをまとめたガイドブック公開(google):

グーグル合同会社(google)は7月16日、テレワークの実践方法やツールをまとめた「働き方のこれからをつくろう。」ガイドブックを公開した。



新型コロナウィルスの影響で、テレワークをはじめとする柔軟な働き方が求められる中、最新調査ではテレワークの導入率が全国で4月の27%から6月の35%へ増加しており、テレワーク経験者の約半数が継続意向を示している。同社では、以前から一つのエリアや拠点にとらわれない「分散型ワークスタイル」を実践しており、その中で得た知見やノウハウともとに新たな日常へのシフトを可能にする「働き方のこれからをつくろう。」ガイドブックを公開する。



本ガイドブックでは企業がテレワークを継続するにあたり必要だと思うことについて、実施者を対象に調査したデータを紹介。「会社のツールやシステムの整備・拡充」「ペーパーレス化」に続き「情報セキュリティ対策」も企業の規模にかかわらず求められている。



また、同社が実施した調査から、実際にテレワークを実施した従業員のうち半分近くの49.3%が継続を望んでいるが、一方で23.1%が継続以降が強くないことを取り上げ、その理由として「オフィスでないと閲覧できない資料やデータがある」「社内コミュニケーションが取りづらい」「仕事のON/OFFの切り替えがしづらい」「社内ツールが利用しづらい」「PC・周辺機器の設備が整っていない」を不満点として挙げている。



同社では新型コロナウイルス禍以前から「分散型ワークスタイル」を取り入れてきたが、同社社員の中でもミーティングの際にチームメンバーと直接会う場合とビデオ会議上でバーチャルに会う場合で、臨場感に大きな違いを感じない従業員は55%いる一方、ビデオ会議に参加した際に他のメンバーとの一体感を感じている従業員は37%という結果もあり、「つながりの質」の低下が分散型ワークスタイルの課題としている。

《ScanNetSecurity》

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