Kali Tools #001|OWASP ZAPでWeb脆弱性を自動診断する基本

※ 本記事では、ZAPを学習目的・自己管理下の環境のみで使用する方法を解説します。
他者サイトへの無断スキャンは不正アクセス禁止法に抵触する可能性があります。

サイバーセキュリティの話を一般の人に説明する際、よく「身近なもの」に例えることがあります。

インシデントレスポンスは消防に例えられるように、セキュリティ担当者のキャリアも医者にたとえると分かりやすいかもしれません。

医者には大学病院で高度な設備を使う医師もいれば、地方総合病院の医師、町医者もいるように、
セキュリティ担当者も**専門ベンダー(大学病院級)→ 有償ツールで高度分析する層(総合病院級)→ 無償ツールで最低限を押さえる層(町医者級)**といった段階があります。

今日は、この「町医者クラス」で最低限の診断を行うために欠かせないツールを紹介します。

🛠️ OWASP Zed Attack Proxy(ZAP)とは?

OWASP ZAPは、OWASP(Open Web Application Security Project)が開発する無料のWeb脆弱性スキャンツールです。

Linux・Windows両方で動作し、Kali Linuxには標準搭載されています。
日本語版もあり、無料ツールの中では特に使いやすく、初心者でも扱いやすいのが特徴です。


🔍 OWASP ZAPでできること

ZAPは「自動スキャン」を押すだけで、対象サイトの脆弱性を一気にチェックできます。
一般的に、次のような用途で使われます。

  • Webサイトの脆弱性スキャン

  • 通信内容の可視化(プロキシとして動作)

  • 手動による詳細な脆弱性調査

  • HTML形式のレポート出力

無料ツールの中では珍しくGUIを備えているため、コマンドが苦手な人でも安心です。


🧪 ZAPが向いている「町医者クラス」の診断

有償の診断ツールに比べれば、ZAPの精度や検出範囲は限界があります。
しかし、次の用途では非常に効果的です。

  • 社内の簡易スクリーニング

  • 個人ブログやWebアプリのセルフチェック

  • OSINT調査の延長でのURL確認

  • 「そもそも何が弱点になりやすいか」の理解

“無料でここまでできる”という点では最強クラスのツールです。


🚀 Kali LinuxでのZAPの起動

Kaliではメニューから起動できます。

Kali メニュー → Vulnerability Analysis → OWASP ZAP

または端末で

zap

と入力するだけです。

GUIが開いたら、中央にある「Quick Start」からテストURLを入力することでスキャンが始まります。


📝 まとめ

  • ZAPは初心者〜町医者クラスのセキュリティ担当が使える無料の脆弱性スキャナー

  • Kali Linuxに標準搭載され、GUIで簡単に操作できる

  • 自動スキャンからプロキシまで幅広く対応

  • 「まずは無料で弱点チェックしたい」人には最適なツール


【参考】
OWASP ZAPの基本的な使い方
脆弱性診断研究会(Security Testing Workshop)
IPA安全なウェブサイトの作り方
OWASPWebシステム/Webアプリケーションセキュリティ要件書